「沙織さん……」

「大丈夫よ。氷河は集団生活は苦手でも、一人ぽっちはもっと嫌いなんだから。それに、氷河が瞬と離れていられるはずないでしょ。春には晴れて一緒に高校生よ」

心配顔の瞬に、沙織がにこりと微笑を返す。

“学校”というところで何が得られるのかは、正直、沙織にもわからなかった。
得られる何かが、知識である生徒も、友情である生徒も、それ以外のものである生徒もいるだろう。

学校で、生徒たちが得るものは人それぞれである。
生徒によっては、結果的に、『学校という場では何も得られない』という経験を得るために学校に通ったことになる生徒も存在するのかもしれない。

いずれにしても、“何か”を見つけさせるために、大人たちは子供を“学校”に送り出す。

そこは、何かを探す術を学ぶ場所なのだ。






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