これとほぼ同じ会話が、一ヶ月間、氷河の部屋で、毎日飽きもせずに繰り返された。

最初の1週間、寮の食事はカレーライスだけだった。
やがて、氷河が『カレー』としか指示しないのを幸い、光星寮の調理師は、生徒たちのため必死にメニューを考え始めた。

カレーライスに始まって、カレーうどん、カレーラーメン、カレーチャーハン、カレーおじや、ドライカレー。
スパゲティにカレーをかけ、そばにカレーをかけ、ビーフンにカレーをかけ、そうめんにカレーをかけ――彼は必死になってカレーメニューを考案し続けたのである。

少しでも変化のあるものを生徒たちに食べさせてやりたいと、彼は必死だった。


しかし、彼の必死の努力も空しく、寮生たちの不満は日増しに強まっていく。

当の氷河はと言えば、毎日瞬を連れて、外のレストランで豪華なディナー。 

夜は夜で、健康診断と称して瞬を自室に呼びつけ、微に入り細に入った念入りな健康診断。


氷河は、調理師の苦労はおろか、寮生たちの不満にも全く気付いていなかった。






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