恋とはどんなものかしら
ご存じの方、教えてください



沙織が聴いていた、ケルビーノのアリエッタを、氷河はふと思い出した。

そして、『教えてたまるか』と、胸中で毒づく。
絶対に気付かせてなるものか、と。


僕の心は恋していますか


能天気な笑顔を瞬に向けている星矢を眺めながら、やはり、言葉にはせずに、
『その通りだ』
と告げる。

氷河は、それでも、星矢が嫌いではなかった。
友だちとして、仲間としてなら、むしろ星矢は、氷河にとって、瞬よりも特別な存在だったかもしれない。


僕の心は恋していますか──?


その答えは、自分で見付けなければならない。
それは、自分自身にしか、見付けられないものなのである。





Fin.







【back】