シュンとヒョウガが、その夜、視線で交わし合ったものは、いったい何だったのでしょう。

心が作り出す全ての思い──愛情、慈しみ、優しさ、親しみ、孤独と寂寥。
そして、そこにはもしかしたら、身体が生む全ての欲望までもが混じっていたのかもしれません。

シュンは、ヒョウガと、そういうものを交わすことで、歓喜に似た感覚に支配されました。
そして、シュンは、その歓喜が運んでくる身体の疼きに戸惑い始めていました。

それは、飢えとは違う感覚でした──少しだけ、似ているような気もしましたが。
飢えを満たす時に感じる充足感とも違いました──ちょっとだけ、似ている部分もあるような気がしましたが。
もしかしたらヒョウガも、シュンと同じように、その夜を、とても不思議な感覚の中で過ごしていたのだったかもしれません。

生まれて初めて経験する不可思議な感覚に戸惑いつつ、互いに体温を与え合って過ごす奇跡の夜。

シュンは、ヒョウガの胸に鼻面を押し当てながら、これまでとは全然違う気持ちで──絶望の全くない気持ちで──死んでもいいと、思ったのです。

とても安らかな気持ちで。
心の底から。
そして、身体中で。






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