645000カウント記念小説


645000カウントをGETしてくださったのは、傘さん。


お題は、

「『DREAMS』のアナザーエンド」

もしくは、

「氷河と瞬が兄弟のお話」


『DREAMS』のアナザーエンドに関しましては、
「二人が結ばれるハッピーエンドが見たかったです。せめて、この物語の瞬が、自分が氷河に愛されていたことを知ってほしかったです」

氷河と瞬が兄弟のお話に関しましては、
「実の兄弟設定だと、二人はどんな感じになるのかな〜と思いまして。この場合、兄さんはいない設定でお願いいたします」

──とのことでした。

傘さん、リクエスト、どうもありがとうございました!

はい。そういうわけで(?)。
傘さんから お題をいただいて、私が最初にしたことは、至極当然のことですが、いただいた二つのお題のどちらで話を書くかの決定です。

まず、『DREAMS』のアナザーエンドについて。

こちらに関しましては、何が大変だったかと申しまして、とにかく 作品を読み返すのが つらかった。
何といっても、17年前に書いた話です。
17年前の私なんて、フツーに子供の部類、あの話を書いた頃の私の中には、まだ白馬の王子様を夢見る乙女ゴコロさえ残っていたかもしれません。
そんな私が書いた話ですから、愛し合いながら結ばれぬ恋に憧れるオトメゴコロ満載、読み返すのが恥ずかしくて恥ずかしくて。
薄目を開けて、各章の最初と最後のページを読むのがやっとでした。
ですが、それだけで すぐに、ストーリーや設定をほぼ思い出せるんですから 不思議なものですねー。
昨日食べた おやつが何だったのかさえ、既に憶えていないような私なのに。

で、私は、この話を別の結末にもっていくための方策として、
(1) パパ氷河にオトナになってもらって、氷河に事実を知らせる
(2) 普通に、氷河が瞬に自分の気持ちを告白する
(3) たとえば、瞬が残していた日記のようなもので、氷河が瞬の気持ちを知る
というようなパターンを考えたのです。

が、ここで問題が一つ。

もし瞬が氷河の気持ちを知ってしまったら、瞬は氷河のマーマになりたいと、あれほど熱烈に願うことをしたでしょうか。
もし氷河が瞬の気持ちを知ってしまったら、氷河はパパになりたいと、あれほど熱烈に願うことをしたでしょうか。
もし二人が(あるいは、二人のどちらかが)自分が本当は 自分の愛している人に愛されていたことを知ったなら、二人(あるいは、二人のうちのどちらか)は、それで気持ちが満たされてしまう可能性大。
そうなれば、愛する人に愛されている自分(もしくは、愛する人に愛されていた自分)を肯定するために、二人(あるいは、二人のうちのどちらか)は、生まれ変わりの願望を抱くことがなくなると思います。
となると当然、二人の生まれ変わりのループは発生せず、いわゆる タイムパラドックスが生じることになる。
そして、私は、そのパラドックスの解決策を思いつけませんでした。

ということで、『DREAMS』のアナザーエンドは断念。
今回のキリリクには、「氷河と瞬が実の兄弟」で 応えさせていただくしかないということになったのですが。
こちらのお題にも、一つ問題が。

個人的な事情になってしまって 大変申し訳ないのですが、私には、肉親近親によって構成されている家族というものを神聖視するきらいがあります。
私の中では、肉親近親という関係は、明確に 恋の上位にあるものです(肉親の情と恋情は、同じ次元で比べられるようなものではないことはわかっていますが)。
つまり、既に 肉親近親という強固な関係にある二人が なぜ近親同士で恋愛などしなければならないのか、と思ってしまうというか何というか。
せっかくの肉親近親という強固な関係を、恋愛などという要素を持ち込んで破壊・変容させることはないではないかと、感じてしまうというか何というか。
(これはもちろん、あくまでも私個人の感覚、価値観にすぎません)

その旨、傘さんにお伝えしたところ、
「一緒に育ったという設定でしたら、実の兄弟でなくても構いません」
という寛大なお返事をいただき、惰弱な私は そのお言葉に甘えさせていただくことにいたしました。
本当に申し訳ありません。
私は 自分を、氷瞬なら何でもOKの、かなり融通の利く寛容寛大な固定ファンと思っていたのですが、結構 頑固な自分内制限があったようです。

──と、そんなこんなの経緯を経て、今回の設定での話と相成った次第。
リクエストをいただく側の身でありながら 我儘の言い放題、本当にすみませんでした。


今回の話の時代設定は、日露戦争前後、ちょうど 司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』の頃。
話の時代が現代でないのは、DNA鑑定などという技術に存在されては困るから──という、超現実的な事情によります。

ちなみに私は、『坂の上の雲』の原作は読んでいなくて、ドラマで視聴したことがあるだけの人間です。
あれは、大変 勉強になるドラマでした。
当時の帝大入学試験の描写とか、陸軍士官学校や海軍兵学校の授業風景とか、日露戦争前後の庶民の暮らしとか、非常に興味深かったです。
当時 雨後のタケノコのように創刊された新聞社の内情等も垣間見ることができて、すごく面白かった。

私は 氷瞬話を書く際、自分の知識の管轄外の事柄については ネットや書籍で調べることが多いのですが、ドラマやドキュメンタリー等 映像データでは 情報が総合的にゲットできるので助かる──というか、便利ですね。
ドラマですと、視覚データ、音、雰囲気、内容を一度に確認できる。書籍等の文字情報だけでは どうしても把握しきれない情報を一瞬で得られる。
もちろん、ドラマ等視聴後に、それで得た情報が正しいものかどうかの確認は必須になりますが、映像データはやはり重宝します。

なーんてことを書いておきながら、こんなことを言うのは大変 気がひけるのですが、今回の話の時代考証はかなり いい加減ですので、おかしなところがありましたら ご容赦ください。

作中、瞬が氷河のことを『兄様』と呼んでいますが、これは瞬の『兄さん』は一輝のためにだけある呼び名だと思うからです。


というような感じで、自分内氷瞬に結構 いろいろなこだわりがあったことを自覚することになった今回のリクエスト話。
私だけではなく、すべての氷瞬ファンの方々の胸中に、それぞれに、氷瞬への こだわりが存在することでしょう。
そういう現実は認め 受け入れつつ、できるだけ多くの方々に 私の書いた話を楽しんでいただけるよう、願ってやまない私です。





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