さて、こちら、兄の死を知らない瞬と氷河。
瞬の部屋。



「えと、そうか。そうだよね、1周年なんだ」
氷河、こくりと頷く。
「去年はひどい目に合ったけど(注3)
  注3 Pale−greenさんにある第1話をお読みください。

氷河、ちょっと心配そうな目。
「あ、いいんだよ、気にしないで。結果オーライだから。僕、氷河と仲良くなれて良かったって思ってるから」
氷河、嬉しそうに笑う。
「長いようで、あっという間だったね」
氷河、再び、こくりと頷く。
「城戸邸が壊れかけたり、納豆尽くしの食事を食べさせられたり、大変だったけど」
氷河、嫌な思い出に少し顔を歪める。
「でも、いい1年だったよね」
氷河、三たび、頷く。
「(氷河に微笑いかけて)僕、紫龍たちには、あんなこと言ったけど、でも、氷河の目にはなんだか不思議な力があるみたい。見詰めてるとね、僕、魔法をかけられたみたいに、ふわふわした気持ちになるんだ」
氷河 「……(『それは、俺の目におまえが映っているからだ』と言いたいが無言)」
「(氷河が何も喋らないのに少々あきれて)氷河、これが最後かもしれないんだから、何か言ったら? 一応、最終回なのに、言ったセリフが『去年もした』だけじゃあんまりだよ」
氷河 「(しばらく考えて)早く寝よう」
「…………」
あまりといえばあまりなセリフに、一言何か言ってやろうとして、氷河の顔を見あげ、氷河の青い瞳に出会い、瞬、言おうとした言葉を飲み込む。
「そだね、眠っちゃおっか」
氷河、最後のこくり。



氷河の青い瞳が最後に瞬に何を告げたのかは、瞬だけが知っていればいいことである。






Merry X'mas



The End



My heartful thanks to you.
 





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