ギリシャ、聖域――。
神話の時代から、いかなる邪悪にも汚されたことのない聖なる場所に、嵐が訪れようとしていました。
アテナを名乗る城戸沙織という人物が、彼女に臣従する聖闘士たちを引き連れて、この聖域に乗り込んできたのです。
そのせいで、普段は静かな聖域が、ここ数日間は、てんやわんやの大騒ぎでした。
普段は自国にいて、自分の宮を留守にしている黄金聖闘士たちが大慌てでギリシャにやってきて、宮の大掃除に余念がなかったからです。
なにしろ、今回の十二宮の闘いでは、聖域に初のテレビカメラが入り、その闘いの様子が全世界のお茶の間に届けられるというのですから、それも当然のこと。
中でもいちばん騒がしかったのは、黄道十二宮のラストを飾る双魚宮。
そのバラ園のバラたちでした。
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