「だからと言って、瞬に会わせるつもりはないがな」
太陽神殿を辞して、聖域に下りていく沙織たちの後ろ姿が見えなくなった頃、アベルは沈みかけている太陽の色に染まった空に向かって呟いた。
「しかし……。よりにもよって、あんな馬鹿者が恋敵とは──」
それから、彼は、蔑みの伴った苦笑を一つ作ると、神殿内に戻るために踵を返した。
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