「なんだよ、俺たちの出番なんかないじゃんかよ!」 星矢は、心底から不満そうに、月の見えない空に向かって吼えた。 禁域を覆う空には、河のような銀河が白く輝き、その周囲の星たちも、月のない分、明るく輝いている。 既に、ベレニケたちは、アテナの聖闘士の敵とも言えなかった。 以前はもっと手応えのあったアベルの聖闘士たちは、太陽神の加護が注がれなくなったせいなのか、ひどく脆弱になっていた。 あるいは、それは、氷河が強すぎるだけだったのかもしれないが。 ともかく、氷河の手が彼等の周囲の空気を撫でるだけで、彼等はばたばたと倒れていったのである。 「そいつらを片付けておけ。俺は先に行く!」 月の第一日目の新月。 月の光がなく、月の力が最も強まる夜。 闇の中、しかし、氷河には光のある場所がわかっていた。 |