龍の血
緒
闘いほど瞬に似合わないものはないと、紫龍はいつも思っていた。
敵と闘ったりせずとも、仲間たちの帰る場所で待っていてくれるだけで、瞬は、彼の仲間たちに力を与えてくれるではないか。
聖衣など捨てて、聖闘士をやめた方がいいのではないかと告げ、一笑に付されたこともあった。
闘いを重ねるにつれ、瞬は強くなっていった。
それは、もともと好戦的な人間が培う強さではない。
人として根本的な、根源的な、しいて言葉にするのなら、大地を潤す水のような――。
瞬の強さは、水のそれだった。
龍の棲み処の。
[次頁]