epilogue





公爵邸の庭は、今日も光にあふれていた。

その中心に立つ瞬を、氷河が、眩しいものを見るように見詰めている。

「ご心配には及びません。盲いて呪わしい言葉ばかりを吐き続ける王を、王妃様とハーデス――陛下は哀れに思われたようで……王妃様は前王のお世話を始めたということですから」

自分が虐げてきたつもりの者たちに同情される――王には、これ以上の屈辱はあるまい。
ある意味、それは最高の復讐だった。

瞬は、それを復讐だと考えてはいないようだったが。
「王様は――きっとわかってくださるよ。王様を殺せなかったハーデスと王妃様のお気持ち……」

「…………」
『本気でそうお思いですか』と尋ね返そうとして、氷河はそうするのをやめた。


瞬はもちろん、本気なのに違いないのだ。






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