瞬の身に着けていたものは全て、瞬の体から取り除かれていた。

瞬は、瞬のために動き続ける氷河の手や指や舌や唇に半ば陶然とし、明確な思考を作れない状態になっていた。
氷河のそれらの部位が、正しく瞬のためにだけ活動しているという事実に驚くことはおろか、気付いてもいなかった。
ただ、時折触れる氷河の身体の中心だけは、氷河自身のために変化していることが、ぼんやりと感じられるだけだった。

瞬は、混濁する意識の中で、最初に氷河の瞳に出会ったのはいつのことだったのかを、必死に思い出そうとしていた。
そんなことを考えようとしてでもいないと、瞬は、氷河にとんでもないことをせがんでしまいそうだったのである。

氷河が、瞬の膝に添えていた手に力を加えてくる。
朦朧としていた瞬の意識は、その動作の意味を悟って、言葉を作るための努力を再開した。
それは、ただの懇願でしかなかったが。
「氷河……頼むから……もうやめて……」

「心配しなくていいよ。最初は痛いけど、すぐに気持ちよくなるんだって」
「お……男同士でそんなはずがな……」
瞬の口を封じるために、氷河の手が瞬の内腿を撫であげる。
それから、氷河は、そこに頬を押し当ててきた。

「どこのサイトを見ても、そう書いてあったもん」
氷河が、どこで、どういう方法で、何を予習したのか、瞬には想像もできなかった。

氷河が瞬の脚の間に身体を滑り込ませてくる。
瞬の身体に押し付けられてくる氷河のそれは、瞬のものよりもはるかに成熟していた。

「や……やだっ!」
氷河が自分に何をしようしているのか――それを、今初めて、瞬は、明確なビジョンとして捉えることができた。
切実な恐怖が、瞬を襲う。

「大丈夫……大丈夫だ。身体から力抜いて……そうすると痛くないんだって。大丈夫だよ」
まるで恐がりの子供をなだめるように、氷河は、瞬を安心させるための言葉を繰り返す。
しかし、彼は、瞬の返事を待てるほどの大人にはなれていなかった。

「ひょう……」

両脚を抱えあげられる。
信じられないことに、次の瞬間、瞬は氷河とつながっていた。






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