![]() そのことがあってから、氷河は、ちょっとだけ15号を贔屓するようになったのです。 だって、せっかく普通サイズの瞬が目の前に現れても、15号が抜けていたら、可愛い瞬と愛を確かめ合うことができないんですもの。 氷河はなにしろ男ですから。 男を磨ききった男ですから。 氷河の気持ちはとってもよくわかるでしょう? けれど、それで収まらないのが1号から14号までの瞬たちです。 1号から14号までの瞬たちは、氷河の贔屓が悲しくて悔しくて、 「氷河は僕(たち)と15号のどっちが好きなのっ!?」 と、小さくて可憐な瞳に涙を浮かべて、氷河に迫りました。 「15号のいない僕(たち)じゃダメなのっ!?」 ――と。 15号は氷河にとってとても大切な存在でしたが、氷河はもちろん、瞬の15号な部分だけが大事なわけではありません。 瞬は優しくて、可愛らしくて、強くて、素直で、繊細な心を持ち、甘い物好きで、初々しくて、礼儀正しくて、お利口で、明るくて、元気で、時々本気になって、感じやすくて、ちょっと泣き虫だったりするから瞬なのです。 それが、氷河の好きな瞬でした。 いくら男を磨きまくってその時の訪れを待っている氷河でも、『えっち好き』なだけの瞬ではえっちをする気にもなれません。 14人の瞬に迫られた氷河は、しどろもどろになりながら、 「何を言ってるんだ、おまえたち。俺はおまえたち全員を好きでいるに決まってるだろう! おまえたちの内の誰が欠けても、それは完璧な瞬じゃないんだ」 と、14人を説得しました。 けれど、1号から14号までは、すぐには不信感を拭い去れません。 氷河が大好きだからこそ、小人の瞬たちは、時々氷河の心を疑ってしまうこともあるのです。 瞬1号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬2号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬3号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬4号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬5号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬6号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬7号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬8号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬9号 「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬10号「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬11号「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬12号「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬13号「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 瞬14号「氷河の嘘つき! 僕、氷河なんか嫌いだ!」 そう言って、1号から14号までの瞬たちは、氷河の前でわんわん泣き出してしまいました。 慌てた氷河は、個別に1号から14号までの頭を人差し指で撫で撫でして、それから1号から14号までを一人ずつ手の平に乗せて、それぞれの瞬たちのほっぺにちゅうをしてあげたのです。 途端に小さな瞬たちは、ほっぺを薔薇色に染めて、幸せそうにもじもじもじ。 大好きな人に優しくしてもらえるのって、とてもとても嬉しいことですもの。 小人たちは、氷河の“ちゅう”に、すっかりぽ〜っ☆となってしまったのです。 |