翌朝、一輝は旅装を整えて戸口に立った。
そして開口一言、
「じゃあ、行ってくる。くれぐれも用心して何人たりともいれるんじゃないんだぞ。もし、無理やりにでも入ろうとする奴がいたらそんな輩は刺して油をかけて燃してもぜんっぜん構わんからなっ。むしろそうしろっ。」
それだけのことをワンブレスで言いきると一輝は瞬の細い肩を ぐわしっ と掴んで視線を合わせ、無言のうちに同意を求めた。瞬は
「にいさん、、、、。 それはちょっと、、、、、。」
―あんまりなんじゃぁ、、、―と、言おうとしたが 
―兄さんは僕のことが心配なんだ。―そう思うと瞬にはもはやなにも言うことが出来ず、別れの寂しさとあいまって只頷くのみであった。
それを確認した一輝は瞬の肩から手を外し、そのまま背を向けて去っていった。
その背を瞬以外に影からみつめる目があった、、、、。






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