数分の後、瞬は呼吸も安定してきて危機は脱したようだった。
―もう大丈夫だな。―
そう思うと心に魔がさす。
―じゃあ、最後の一回は長めに、―
と、必要のない人工呼吸を施そうとしたとき、

「な・に・を・している。」
と、頭の上から聞き覚えのある声がした。
「ミロ、我が師カミュっ!!」
「心配して来てみれば、こんなことをしているとはな、」
あきらかにミロは怒っていた。
「誤解だっ!」
着衣が乱れて意識のない瞬。
氷河は無罪を叫んだが状況が状況だった。しかもその気がなかったとはいえない。
「ほぉ、どういうことだ、」
氷河は必死だった。なにせ相手は師と肩を並べる実力者。
「これは、」
「これは?」
ミロが聞き返す。

―緊急事態だっ!!―

「役得だっ!!」

本音と建前が逆になってしまった氷河であった。
「ほ、ほほう、、、、」
ミロの額に血管が浮かんでいる。

―しまったーーーー!!―

「氷河よ、常にクールであれと教えたはずだぞ。」
カミュは弟子の不甲斐ない姿が情けなかった。

「だーーーーーーっ!!」

氷点下の荒野に氷河の絶叫がこだました後、一同は無事に、―約一名は瀕死であったが、―町内会の会場へと向かって行った。





[next]