「で? あのピンクの錠剤の正体は何なんだ、ミニドラ焼きえもん?」 「ジキルとハイドの錠剤に悪口紅を削って混ぜて、アベコンベ棒で掻き回したんだよ、紫龍クン」 「してみると、あれを飲んだ瞬は、本来の瞬とは全くの別人格ということになるのか?」 「うーん。それはどうかなぁ。正直太郎の成分もちょっとは入っているからなぁ」 氷河が、真実の意味と無価値とを苦渋と共に悟っていた頃。 紫龍と、彼の膝の上に鎮座ましましたミニドラ焼きえもんは、呑気かつ平和この上ないハイプロウな会話を楽しんでいた。 「とんでもないことになりはしないか?」 「それは、僕の道具を使った者の宿命だよ。自分の力で問題を解決しようとせず、他人の道具なんかに頼るからそういうことになるんだ。しっぺがえしを受けるのは当然のことだと、キミも思うだろう? のび太クン?」 ○だけを組み合わせて出来ている顔で、人生を悟りきったようなセリフを吐くドラ焼き色の小型ロボットに、紫龍が顔をしかめる。 「何度言えばわかるんだ。俺はのび太じゃない」 「あれ、そうだっけ」 ミニドラ焼きえもんは、紫龍の訂正を受けて、あはははははと超特徴的な声で盛大に笑った。 「まあ、要するに、自分の人生を生きているのは自分だから、その苦難を乗り越えるのも自分でしなきゃいけないということだね」 「それが落ちなのか?」 「お子様アニメは教訓的に終わらないと、教育委員会からクレームがつくんだよ」 そう言うと、日本が世界に誇る長寿番組の主役は、再度、けらけらけらと教訓的に笑ったのだった。 Fin.
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