僕は、今、シベリアに向かっている。
他に行くところもない氷河に会うために。

僕は、今度こそ、氷河のあの眼差しを怖れずに、あの青い瞳をまっすぐに見て、言ってみるつもりだ。

僕は氷河に何もあげられないけど、僕には氷河が必要なんだ――って。

氷河は何て答えるんだろう。

でも、氷河がいなくなってから、僕は知った。
愛って、何かの代わりに与えるものではなく、もちろん、欲しいから奪い取るものでもなく――ただ、必要なものなんだってこと。


氷河も僕を必要としてくれているのなら、多分僕たちは、ふたりの生活を取り戻すことができると思う。






Fin.






【menu】