「おまえは俺のものなんだぞ。わかっているのか!」

ヒョウガは、肯定の返事をシュンに強要してきたが、シュンは到底返事ができるような状態ではなかった。
貫かれるたびに、肢体を引き裂かれるような痛みが、シュンの身体の中を走り抜けていく。
それは、昨夜までの“彼”とは違っていたし、ひと月前までのヒョウガとも違っていた。

シュンにできることは、喘ぎながら、横にとも縦にともなく首を振ることだけで、そして、その仕草の意味など、ヒョウガにはどうでもいいことだったらしい。
彼は、最初から、肯定以外の返答を受け付けるつもりはなかったらしかった。

「わかっているのなら、他の男になんか、よがってみせるんじゃないっ!」
のけぞりかけたシュンの首を掴んで引き戻し、シュンの唇を舐めるようにして、ヒョウガはシュンを怒鳴りつけた。

ヒョウガの怒りを和らげるために何事かを言おうとしたシュンの唇が、噛みつくようなヒョウガのキスでふさがれる。
唇を解放されてからも、シュンは、執拗に自分の中をえぐり続けるヒョウガに、弁解することも反駁することも許してもらえなかった。


「僕はただ……ただ、ヒョウガの側にいたかっただけなの……っ!」
シュンが、やっとの思いで、掠れ渇いた喉から声を振り絞り、訴えた時、それは音にすらなっていなかった。






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