瞬の身体をシーツの上に横にする。
その脚の間に自分の膝を割り込ませ、その唇に自分の唇を重ねながら、氷河は瞬の身に着けているものを全て剥ぎ取った。
キスだけなら、これまで幾度も交わしたことがある。
未知のものではないその行為に触れて、瞬は少しだけ身体の緊張を解いた。

「痛かったり、気持ち悪くなったりしたら、すぐに言うんだぞ」
瞬の耳許に囁いて、氷河は、その手を瞬の内腿の間に忍び込ませた。

「あ……っ!」
初めて他人に触れられる場所、その感触に、瞬は微かな悲鳴を漏らした。
慌てて、その声を飲み込み、息を詰め、それから、それを吐息に変える。

「ここは触られるのは嫌か?」
「う……ううん、そうじゃくて、あの、何だか……んっ……」
氷河の指先が、瞬の反応を確かめるように動きを止め、また動き出す。

「あ……あの……氷河……」
「何だ?」
瞬の肩口に唇を這わせながら、指で瞬に触れることをやめない氷河の下で、瞬は反射的にきつく目を閉じた。

「目……僕、目、閉じてていい?」
「構わないが、どうして」
「どうして……って……」
どうしてそんな意地の悪いことを訊くのかと、瞬の方が氷河に訊きたかった。

「そ……その方が恐くないみたいだから……」
いずれにしても、瞬はもう嘘はつけなかった。
多分、もう、嘘をつき続ける必要もない。
氷河の身体が徐々に熱を帯びてくるのを全身で感じながら、瞬はそれを悟った。
本当は恐いのだという、真実の気持ちを知られても、氷河はもうやめない──やめられないだろう──ということが。






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