ピネウスは、ヒョウガの計画通りのことを実行した。
偽の神託が王と王の臣下たちに伝えられ、海岸で鎖に繋がれたのはまたしてもアンドロメダ姫ではなくシュンだった。
そこまでは、ヒョウガとピネウスの間に成立していた約定通りだったのだが――。

ピネウスはどうやら、狂言の海獣退治と夜陰とに紛れて、自らの悪巧みを知る者たちを根こそぎに始末することを考えたらしい。
この国と この国にシュンを繋ぐ鎖からシュンを解放するために犠牲の岩棚に降りたったヒョウガは、そこで、剣を手にしたピネウスと彼の手下たちに取り囲まれてしまったのである。

「ヒョウガ、うしろっ!」
ピネウスの卑怯な策略に先に気付いたのはシュンだった。
が、シュンに知らされる前に、ヒョウガはこうなることを予測していたらしい。
さほど慌てた様子も見せずに、ヒョウガは、神やウスノロの海獣よりもたちの悪い人間たちに向き直り、神やウスノロの海獣ほどの力もない人間たちをあっという間に倒してしまった。






【next】