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事の起こりは一通の手紙。
その国の言葉ではなく北方の国の言語で書かれた嘆願書が 国王の目にとまったことから、それは始まったのである。
本来なら下級役人に握りつぶされ、国王の手に渡ることなどありえなかったそれが、国王に熟読されるという栄誉に浴することになったのは、ちょっとした偶然によるものだった。

直接国民からの意見を受け付ける官庁を作ったにも関わらず、ほとんど機能していないその部署に、ある日予告なしに足を運んだ王は、役人の執務机の上に積まれていた仕分け前の手紙や書類の山の中に、自国語ではない言語で書かれた手紙があることに気付き、それを手に取り、読んだのである。

嘆願書の内容は、首都の下町にある養護施設に対して国からの援助を求めるもので、用件とは別に施設の実情が事細かに記されていた。
国からの助成金の額を考えれば、ありえないほど悲惨なその状況に疑念を抱いた国王は、早速該当の施設の視察を決めたのである。






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