「 今日もまた朝食に遅れてきた二人の仲間を見やって、口中にロールパンを放り込んだばかりの星矢が呆れたように言う。 「そーゆーのを言うわけ?」 「そうみたい」 瞬は今日は、笑って星矢にそう答えることができた。 アテナの聖闘士たちは決して、世界に花を撒き散らすことはなく、 彼等はただ、闘う力を持たない者、傷付き 打ちひしがれ 苦悩する者、そして平和と幸福を願う者たちの代わりに闘い、自ら傷付く。 その果てに得られるものが真の平和であるかどうかは、彼等が守り続ける人々の心に委ねられるもので、アテナの聖闘士たちは本当は、世界の向かう方向を決定する力も有していないのかもしれない。 それでも彼等の胸には、いつも希望という清らかなものが 決して消えることなく存在し続けていた。 「んじゃ、今日も頑張って清らかに生きていくとすっかー」 「うん」 星矢の言葉に瞬が頷く。 頷くことのできる自分を、瞬は、ひどく幸福な者だと思うことができたのである。 楽園に住む天使のように。 Fin.
|