かくして、氷河の受難の日々は始まった。
瞬と顔を合わせれば、わざとらしく横を向き、瞬に話しかけられても返事をせず、就寝する場所も無論別々。
それは、難というよりは、氷河が自ら招いた苦境だった。
瞬は少々困惑した素振りを示すだけで、傍目にはそれは氷河の一人相撲にしか見えなかった。
星矢にいたっては、
「いつまで続くかな〜」
と、至極楽しそうに氷河の様子を眺めているだけで、仲介の労をとろうともしない。
要するにそれは、それほどまでに勝負の見えている いさかいだったのである。

意外にも氷河の我慢はイブまで続いた。
とは言え、たった3日、である。
その“たった3日”は、だが、氷河にとっては“されど3日”だった。
なにしろ周囲の思惑に逆らって 氷河だけは、折れるのは瞬の方だと信じていたので――その3日間は氷河には真夏の炎天下に灼熱地獄ツアーを強いられたも同然の苦難の日々だったのである。






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