氷河。
直接話をするのが恥ずかしいので、手紙を書きます。
あの時は、逃げ出したりしてごめんなさい。
だって、氷河が急に真剣な顔をして、
「俺は永遠におまえだけのものでいる。おまえを永遠に俺だけのものにしたい」
なんて言うから、僕、恐くなっちゃったんだ。

氷河が恐いんじゃないよ。
僕は氷河にそんなふうにいってもらえるほど立派な人間なんだろうかとか、僕は氷河の好意に十分に報いることができるんだろうかとか、そんなことを考えたら、僕は氷河を幻滅させることしかできないような気がして、それが恐かったんだ。
すごく恐かったの。

僕は未熟な子供だし、泣き虫も未だに治ってないし、氷河のために何をしてあげられるわけでもない。
氷河のためになら、どんなことでもしてあげたいけど、何をしてあげられるのかもわからない。
僕は何も持っていないし、何の力もない。

一人でずっと考えてみたんだ。
僕が氷河にあげられるのは、氷河を大好きだっていう気持ちだけなんだよ。
本当にそれしかない。
自分がそんなふうに非力でちっぽけな人間なんだって思ったら、すごく悲しくなって涙がこぼれてきました。

あの、でも、氷河はそのこと知ってるよね。
それでもいいって思ったから、ああ言ってくれたんだよね?
もしそれが僕の一人合点でなくて、氷河が僕のこと怒っていないのなら、今夜……ううん、氷河の都合のいい時でいんだけど、一緒に過ごしましょう。

何て言えばいいのかわからなくて、変なこと書いてるかもしれないけど、僕のこと図々しいなんて思わないでください。
これは氷河への要求じゃなくて、僕からのお願いです。


たとえ世界が明日滅びるとしても、いつまでも大好きな氷河へ






Fin.



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