そんなふうな、ほとんど どたばた劇のような騒ぎの後、瞬は冥王家を出て、氷河の許に書生兼恋人として身を寄せることになったのである。
女に学問は必要がないと父親に言われ、進学を禁じられていた高校に、瞬は氷河の家から――城戸邸の中の一棟なのだが――男子生徒として通うことになった。
そのあたりの手配は、瞬の謙虚と利発を大いに気に入った沙織が、万端整えてくれた。

最近、氷河の人気作『大富豪探偵 金第一沙織シリーズ』には、機転の利く可愛らしい助手の少年が登場して、人気を博している。
出版社のジュブナイル部門から、彼を中心にした少年探偵物を出さないかと打診があるほどで、氷河の懐に入ってくる印税と原稿料は、依然として、キド・ホールディングスの役員報酬より多額。
そして、もちろん、氷河は瞬の尻に敷かれているのだった。






Fin.






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