あの二つの魂は、自分が 戦い続ける自分であることを願っていた。
そうして、自分が そう願っていたように戦い続けた。
争いのない世界は、決して実現しないとわかっていたのに。
それでも戦うことを選び、戦い続け、戦いの中で死んでいった。
その戦いの目的である、争いのない世界を実現することなく。
あれほど望んでいた、争いのない世界を見ることなく。

二人の最後の願いを、私は憶えている。
『もう一度 生まれ変わっても、僕は、氷河やみんなと出会い、共に戦いたい。みんなと共に生きて、戦い、そして 死にたい』
『もし俺が生まれ変わることがあるのなら、今生と同じ出会いを出会いたい。もう一度、おまえに会いたい』

あの者たちの最後の思いを、私は憶えている。
『みんなと出会えて、氷河と出会えて、一緒に戦えて、僕は幸せだった』
『おまえに会えて、おまえを愛して、おまえに愛されて、俺は幸せだった』


もう随分 昔のことなのに。
私は、これほど鮮やかに憶えている。
私の心に、つい昨日のことのように甦る。
あの魂たちの生きた軌跡。
あの魂たちの凛とした佇まいが。
それほど、あの魂たちは稀有な美しさを持っていたのだ。






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