かくして、氷河は めでたく瞬の恋人という肩書きを手に入れ、星矢は瞬の“いちばんの友だち”の地位を堅持、地上世界は存亡の危機を免れた。 三方が丸く収まり、めでたしめでたし。 大岡裁きも かくやとばかりの大団円、超ハッピーエンド。 紫龍とて、この結末を覆すつもりはなかったし、文句を言うつもりもなかった。 それは(その経緯はともかく)彼が望む通りの結末でもあったのだから。 氷河は言うに及ばず、瞬の それも 最初から恋だったのだろうと思う。 何より、この結末は瞬自身が、瞬自身の意思で選び取ったものなのだ。 ――が。 恋と友情のボーダーライン。 恋人と友だちのボーダーライン。 それらには、結局、客観的な指標は存在せず、その両者の間に線を引くのは当事者の意思のみなのだ。 その件に関して、異論はない。 その事実を受け入れた上で、紫龍は ただ恐ろしかったのである。 恋と友情の間に ボーダーラインを1本 引くだけで、この大騒ぎ。 もし ここに瞬の兄がやってきて、恋と友情と兄弟愛のボーダーラインを引かなければならなくなった時、はたして この地上世界は破滅を免れることができるのだろうかと、そのことが。 Fin.
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