英国ブックメーカー ――いわゆる賭け屋は、1790年代の英国(当時は、グレートブリテン王国)のニューマーケット競馬場で始まった。
競馬から始まったブックメーカーの賭けの対象は、徐々に様々なプロスポーツや大学スポーツを含むようになり、やがてスポーツ以外の諸事全般へと広がっていく。
各国の王室で 次に生まれる王族は王子か王女か、今年のクリスマスには雪が降るかどうか、謎多き人物シュヴァリエ・デオンは男性か女性か等々、どんなことでも すべてが賭けの対象になる――賭けの対象にならないものはない。
その英国ブックメーカーで、昨今、最も話題になっている賭けは、ある人物の恋の成就に関する賭けだった。


ロシアからやってきた美貌の公爵将軍の猛攻を、英国宮廷に咲く最も可憐な花は 耐え抜くことができるのかどうか。
瞬は氷河の手に落ちるか否か。
ちなみに、ロシア帝国の女帝は、『落ちない』方に賭けているらしい。
彼女は、忠義忠誠を捧げにくい、実に食えない帝王である。






Fin.






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