涙の天秤宮






私の名は、
31世紀からやってきた、いわゆるタイムトラベラー。

矢緒委大学文学部国文科やおい文学専攻の女子大生。
言うまでもないことだけど、超の字がつく美人よ。
父は世界に冠たる金持ち財団の総帥で、母は超有名服飾デザイナー。
私自身も超エリート、おまけに、柔道・空手・合気道の有段者で、柔道は9段赤帯・空手は10段、私に勝てる男はそうそういないわ。

そんな夢みたいに何から何まで恵まれた人間がいるはずないなんて、くだらないことは言わないでね。
せっかくのドリーム小説なんだから、それくらいドリーミーな設定でないと意味がないでしょ。


で、そんなふうに強く賢く美しい私が、1000年前のスーパーマン『聖闘士』に興味を持ったのは、もちろん、強く賢く美しい私につり合うほどの男が周囲に見当たらなくて、古代の強い男たちに憧れたからよ。

『聖闘士』に興味を持ったら、行き着くところは当然『やおい』よね。
私はエリートだから、邪道・裏道には脇目もふらず、もちろん、王道『氷河×瞬』一筋よ。






【next】