なのになのになのにっ !!

なんだか、様子がおかしいのよ。
瞬ちゃんたら、脚を絡めるどころか、ちゅうもしないで、石の床に倒れている氷河の側に歩み寄って、その場に直立したままで小宇宙を燃やす態勢に入ったの。

どーしてなのっ !?
あまたある氷瞬資料の中でも最も信頼がおけると言われているトーエー遺跡から出土した映像資料では、ここで、瞬ちゃんは自分のヘッドパーツをとって、氷河の身体を抱きしめて、それからそれから……。


ちゅうはどーなるのっ !?
やおい界最大の謎はっ !?

私の心の絶叫を気にもせず、でも、瞬ちゃんはそのままピンクの小宇宙をどんどん高め始めてる。
そして、氷河は、瞬ちゃんの足元に横たわったまま。

ちゅうも脚も──熱〜いちゅうも、絡みつく脚も無しで! 
そんなことがっ!
そんなことがあっていいはずがないわっ!


強く賢く美しく理性的な私でも、そんな馬鹿げた展開をそれ以上我慢することはできなかった。

「ちょっと待ったーっっ !! 」

歴史に介入することの罪も忘れて、私は、瞬ちゃんの前に飛び出していったの。

「え?」

瞬ちゃんは、突然現れた必死の形相の私にびっくりしたみたいだった。
大きな瞳をころんと転がし、きょとんとした顔を私に向けてきた。
「あ……あなたはどなたですか?」

瞬ちゃんが私に話しかけてくれている。
本当なら死ぬほど感動していいシチュエーションなんだけど、今の私はそれどころじゃなかった。

「名乗るほどの者じゃないけど、名乗らなかったらドリーム小説の意味がないわね。私の名は。31世紀からやってきた、強く賢く美しい、未来のノーベルやおい文学賞受賞者よっ!」

さん?」
「そうよっ、よっ!」
まあ、これくらい繰り返しておけば、ドリーム小説の作成意義は満たしたようなものね。

さ、本題、行くわよ!






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