さあ、ここからが本番よ。

私は、歴史的名場面に立ち会ってるの。
いったい、瞬ちゃんはどうして氷河に脚を絡めていったのか。
その謎が、ついに! ついに解き明かされるんだわっ!

私は、固唾を飲んで、瞬ちゃんの行動を見守ったの。

ところが──。

なんてことなのっ!
瞬ちゃんは、私の命令通りに氷河の身体を抱きかかえた──のはいいけど、そのままの態勢で小宇宙を燃やし始めようとするじゃないの。
私は、もちろん、『待った』をかけたわ。


「瞬ちゃん、何か忘れてない?」
「え?」
「脚は?」
「は?」
「脚は絡めないの?」

私が何を言っているのか、瞬ちゃんはわかりかねているみたいだった。
瞬ちゃんは、31世紀のやおい界の謎のことなんて知りもしないんだから、当然のことなのかもしれないけど。

瞬ちゃんが、小首をかしげて尋ねてくる。
「……どうしてですか?」

「…………」

どうしてって言われたって……。
ほんと、どーしてなんだろう?


でも、ここで、瞬ちゃんに脚を絡めてもらわないと、私のノーベルやおい文学賞のネタが消えてしまうことになる。
だから、私は一生懸命考えたの。

瞬ちゃんのその脚を、氷河の脚に絡めさせる理由を。
私の知能と知識をフル稼働させて。






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