「あの……僕、もう、氷河を助けてもいいでしょうか?」

瞬ちゃんは、氷河の脚に絡んでいた脚を外すと、急いで態勢を立て直した。
ちょっと残念だったけど、まあ、清らかな瞬ちゃんに、意識のない男にいたずらするような真似もさせられないわよね。
で、私は瞬ちゃんに頷いてあげた。

「じゃあ、お言葉に甘えまして」

ほっと小さく吐息して、氷河の身体を抱いた瞬ちゃんが、ピンクの小宇宙を燃やし出す。

これから、瞬ちゃんは氷河を復活させるために、自分の命を氷河に与え続けるのね……と、私は、さっきまでの感動とは別の感動に支配されかけていたの。

けど、瞬ちゃんの愛の小宇宙は、燃やし始めてから、ものの10秒も経たない間に──まるで、失敗した線香花火みたいに、消えてしまった。

「瞬ちゃん? どーしたの?」
私が慌てて尋ねたら、瞬ちゃんは〜、あっさり答えてくれました。

「氷河、蘇生しました」
──と。

「はあ?」
私はびっくり仰天よ!
だって、瞬ちゃんはこの天秤宮で自分の小宇宙を燃やし尽くし、瀕死の状態に陥るはずでしょう?

でも、氷河を見ると、確かにもう頬に血の気が戻ってきてるの。
どう見ても、それは生きて血の通ってる人間のそれ。

瞬ちゃんの強大な小宇宙は、たった数秒で、氷河を蘇らせてしまったみたい。

さ……さすが、瞬ちゃんの愛の小宇宙は強力だわっ!






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