最初、私に見えたのは、氷河様の腕と横顔。 氷河様は廊下の壁に両手をおつきになって、壁とご自分の手で瞬様を逃がすまいとしてらっしゃるみたいだった。 壁際に追い詰められた格好の瞬様が、その手をどかそうとしてらっしゃる。 「もう、こんなとこで駄目だってば! 誰か来たらどうするの!」 「誰も来ない」 氷河様はそう言うと、壁についていた手を外して瞬様のお身体を抱きしめて、瞬様の首筋に顔を――か……顔を埋めていった――っっ !? えええええええええーっっっ !? こ……これって、これって、もしかして、もしかするーっっ !? 私が驚天動地してることなんか知りもしない瞬様が、 「あん……っ!」 なーんて、まるで子猫みたいに甘えたお声をーっっ !!!! 「駄目。駄目なことくらいわかってるでしょ。こんなとこでこんなことするなんて気違い沙汰だよ。どうして、こんなとこで……んっ」 ひ……氷河様が、瞬様にキキキキキキキキ……キスしてるーっ! それも濃厚なやつ! 舌が入り込んでるのがわかるっ! そっ……それどころか、氷河様の手、瞬様のシャツのボタンを外して、ああああっ、脚を瞬様の脚の間にっ! やだ、脚を押しつけて、しゅ……瞬様のあの、あの、あの、あれを刺激してるぅーっっ !? 「あ……ふ……」 ながーいキスから解放された瞬様のお声の調子は、キスの前のとはトーンが違ってた。 「やだ、氷河……ここじゃやだ……。どうして、そんな意地悪するの。僕を困らせるのがそんなに……ああんっ!」 しゅ……瞬様のお声が途切れたのは、瞬様のおみあしの間に――ええい、面倒だ、はっきり言うぞ! ――瞬様の股間に、氷河様が手を伸ばしていったから! それも、前じゃないのよ! バックよ、バック! 後ろから手を伸ばしていったの! それで、あんな甘い声が出るってことは、どう考えても、瞬様はこれが初めてじゃないのよ、バックを慣らされてるのよ! これで、もし瞬様がお召し物を着けてなかったら――ううん、服を着たままだから、かえって隠微だわっ。 前から氷河様の脚、バックから手で攻められて、壁際に追い詰められてた瞬様は顔をのけぞらせたっ! 「氷河、お願い、ここじゃやだ……」 瞬様のお声、ほとんど泣き声よ、もう! 「どこならいいんだ」 対して、氷河様は、ちょっと意地悪。 瞬様をその気にさせちゃったら、こっちのものって感じ。 「ベッド……氷河か僕の……ここは……ああっ……早く……っ!」 しゅ……瞬様ぁ――っ! あ……あの、白百合の花もかくやといわんばかりの清純派の瞬様が、『早く!』だなんてっ! なななな……なんか、私まで切羽詰まった気分よっ。 もう、心臓がばくばく! 爆発寸前ーっっ !! |