翌日は、私、散々だった。
寝不足もあるけど、ううん、寝不足なんかこの際全然カンケーなし。

ただ、お仕事してて、氷河様や瞬様のお姿を見るたびに――夕べのことを思い出しちゃって、お二人の前では、私、とても冷静ではいられなかったのよ。
カップは割るわ、お皿は落とすわ、床掃除用のモップに蹴つまづいてスッ転ぶわ、もう滅茶苦茶!

だってねぇ。
氷河様も瞬様も、お仲間の前では、何事もなかったみたいなお顔でいらっしゃるから、なおさら夕べのハゲしい××を鮮明に思い出しちゃうのよね。

こんな無愛想なお顔してる氷河様が……だの、この清純そうなお顔をした瞬様が……だのって思うと、顔に血がのぼって、手は震えるし、脚はもつれるし、まあ、でも、それって当然のことでしょ。


そして、私、何となくわかったような気がしたの。
先輩が、あんな複雑そうな顔をして、このお屋敷を去っていった訳。
先輩も、きっと、あれ、見ちゃったんだろうなぁ……。
そんで、多分、先輩は、氷河様か瞬様のどっちかを好きだったんだ。
失恋から何とか立ち直って、新しい彼氏もできて、でも、それでも――ってことだったんだわ、きっと。

辛いとこよね、ほんと。
でも、まあ、それは先輩の中の問題。


私には私の問題が生まれつつあった――。






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