問題っていうのは、つまり。

私の失敗の連続が、とんでもない事態を引き起こしてしまったの。
あ、別に、失敗続きでクビになりかけた――なんてことじゃないわよ。
私の態度が、とんでもない誤解を生んでしまったのよね。


私が、お二人のハゲしい××を見てしまってから、3日後。
私は、たまたま誰もいなかったリビングで、不安そうなお顔をなさった瞬様に尋ねられたの。

さん……。あの……もしかして、さんは氷河が好きなの……?」
――って。

「は?」
私は、超ドびっくりよ。

だって、氷河様には瞬様がいらっしゃるじゃない。
いくらメイド・コスが超似合うラブリー&キュートな私だって、自分が瞬様に太刀打ちできるなんて思ったりはしないわよ。

瞬様の誤解の訳は、でも、すぐわかった。
ここんとこ、私、毎日、氷河様を見ては真っ赤になってドジばっかりしてたんだもん。
そう思われたって、仕方なかったのよね。


「あの……それがいけないって言ってるわけじゃないの。さんは可愛いし、氷河だってきっと……」
そうおっしゃる瞬様、なんだか悲しそうで……。

そうよねぇ。
いくら可愛いっていったって、瞬様は女の子じゃないんだもん。
きっと、それが瞬様の負い目になってるんだわ。

でもでもでも、私、氷河様と瞬様の間に割り込んでいこうなんて、これっぽっちも考えてないわよっ!

「違うんですっ! そんなの、誤解です、瞬様っ!」
「そうだ、違う」

私が瞬様に訴えたのと、氷河様のお声がリビングに響いたのが、ほぼ同時。

私は、驚くより先に安堵した。
ここで、氷河様が、私なんか眼中にないって言ってくだされば、瞬様の不安も消えるってもんだもん。

なのに――。
「この、ちんちくりんが好きなのは、俺じゃなく、おまえの方だ。このガキ――とか言ったか?――こいつ、この間から、おまえを見ては赤くなって、バカなドジを踏んでばかりで――」

わーん、何てことなのっ。
氷河様まで誤解してるっ!

しかも、氷河様、私に思いっきり憎々しげな視線を――!
こっ……恐いよ、マーマぁ……っ!






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