氷河の必死の説得は、まだ続いていましたわ。

「思い出せ、瞬」
「何を思い出せと言うん……あぁん……っ!」

思考力を奪うようなことしておいて、思い出せも何もないと思うのだけど、氷河が思い出せと言っている相手は、瞬の理性や記憶中枢ではなくて、瞬の身体の方だったのかもしれないわね。
実際、それは効果的でしたようでしたし。

氷河は、口先ばかりで抵抗らしい抵抗もしない瞬の身体を開かせて、もう一度同じセリフを繰り返したわ。

「思い出してくれ……!」

そう言うなり、氷河は、自分のモノを瞬の中にずぶりと突っ込んで――あら、失礼――、瞬への愛に猛り狂ったそれを、瞬の身体に狂おしく突き刺した……と言い換えますわ。

「あああぁーっっ!」
瞬はなにしろ、自分が、敵だと思っている男にレイプされているのだと信じておりますでしょ。
氷河にそんなことをされて、快感を覚えることすら屈辱らしくて、もう涙があとからあとからあふれ出て──でも、氷河が腰を使い始めると、結局、瞬はそれに合わせて喘ぎ声を洩らし始めたのですわ。

そうしているうちに、瞬の涙声が微妙に変化してきましたの。
瞬は、敵であるはずの氷河の背中に両腕を絡ませて、喉の奥から、氷河の名をうわ言のように繰り返すようになっていましたわ。

ええ、察してらっしゃるとは思いますけど、あたくしが瞬にかけた催眠術は、瞬が氷河に突っ込まれ──あら、また失言してしまいましたわ──肉体的に結ばれた時に解けるようになっておりましたのよ。

「氷河……氷河……氷河……っ!」
「瞬……?」

氷河は、瞬と××するのが1ヶ月ぶりなら、瞬にそんなふうに名を呼ばれるのも1ヶ月ぶり。
彼は、すぐに、瞬が元の瞬に戻ったことに気付いたようでしたわ。

ですけれど、互いにそれを喜び合う余裕は、今の二人にはなかったのですわ。
なにしろ、その時、二人は、とんでもなく取り込んでいたんですもの。

「瞬……!」

瞬が元に戻ったことを言葉で喜ぶ代わりに、氷河はそれまで以上に張り切って、瞬を自分のアレで突き上げ始め──ああ、あたくしとしたことが、また失言──それまで以上に強く深く、瞬の中に自身の思いをぶつけていったのですわ……。






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