「帰ってきてくださいね。僕が待っていることを忘れないで」

そうする力が残っている限り、どれほど傷付いても、たとえ這ってでも、クルーゼはニコルの許に帰ってくるつもりだった。
彼の許に辿り着きさえすれば、ニコルは、彼の許に帰ってきた男の負った傷を癒し、罪を許してくれるに違いない。

その小さな花は、クルーゼが人間として存在するためのただ一つの手段、なのだ

「帰ってくる」

クルーゼは、彼のために存在するものに、素っ気なく──だが、堅い決意を込めて──そう告げ、そして、彼の戦場に向かった。






Fin.






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