「帰ってきてくださいね。僕が待っていることを忘れないで」
そうする力が残っている限り、どれほど傷付いても、たとえ這ってでも、クルーゼはニコルの許に帰ってくるつもりだった。
彼の許に辿り着きさえすれば、ニコルは、彼の許に帰ってきた男の負った傷を癒し、罪を許してくれるに違いない。
その小さな花は、クルーゼが人間として存在するためのただ一つの手段、なのだ
「帰ってくる」
クルーゼは、彼のために存在するものに、素っ気なく──だが、堅い決意を込めて──そう告げ、そして、彼の戦場に向かった。
Fin.
【menu】
/
【phase 03】