■ まず、指定されたCPは何ですか? |
「お好きなカプでお願いします」とのことでしたので、氷瞬で。 |
■ 貴女の考えるそのCPの傾向は? |
一般的には、「氷河が瞬にベタ惚れで頭が上がらず、瞬は無自覚で少し天然気味」というパターンが多いような気がします。
今も昔も、これが一つの大きな流れで、おそらく これが最も氷瞬ファンに好まれるパターン。私ももちろん大好きです。 が、いざ自分が書く段になると、氷河が瞬にベタ惚れなのは世間様と同じなのですが、なぜか氷河が瞬に威張り散らしていることが多い――ような気がします。 そして、ウチの瞬は、氷河が瞬にベタ惚れなのの3倍くらいの強さと深さをもって 氷河を好きです。 |
■ そのCPのどの辺りがポイントですか? |
氷河も瞬ちゃんも美形なこと――は、やはり外せないポイントのような気がする。
個人的には、氷瞬カップリングの最大ポイントは、瞬ちゃんの清らか設定と、瞬ちゃんが犠牲的精神の持ち主だということ――だと思っています。 |
■ 告白したのはどちらからどのようなシチュエーションですか? |
両手両足の指を全部使ってもまだ全然足りないくらい告白シーンを書いてきたので、これといったお約束シチュエーションはないのですが、多分これまででいちばん多かったのは、氷河が瞬の部屋に行って「おまえが好きだ」と言うパターンなのではないかと思います。
事実そうなのかどうか確認したわけではないのですが、そのシチュエーションがいちばん えっちシーンになだれ込みやすいので、多用しているはずです。 |
■ お互いはどのような所が好きですか? |
・ 氷河→瞬の場合
何といっても、命を救われていますから。 そして、熱き血潮を蘇らせられていますから。 瞬ちゃんは綺麗だし、可愛いし、清らかだし、健気だし、氷河が瞬ちゃんを好きにならない方がおかしいと思う。 ・ 瞬→氷河の場合 謎です謎。20年以上考え続けて、未だに確信をもって「これだ!」と思える答えに至ることができていません(私の中では)。 |
■ 二股や浮気が発覚した時の反応は? |
氷河は、いったん瞬ちゃんとくっついたら、二股行為や浮気はしないで、全精力を瞬ちゃんに注ぎ込むタイプだと思う。
変に一途なところのあるオトコですから。 瞬は、いったん誰かと約束を交したら、他の人とそんなことはすべきではないと信じていて、実際にしないタイプだと思う。 それ以前に、氷河が瞬にそんなことをさせないでしょう。 |
■ 二人が別れるような事はありますか? |
死別以外には ないと思います。 |
■ 相手に思いを伝えるとしたら何といいますか? |
・ 氷河の場合
「おまえが好きだ」と言って押し倒す――パターンが、多分これまでで最多。 ・ 瞬の場合 氷河の瞳を見あげてうっとりしながら、「氷河って綺麗」「氷河は優しい」と言うパターンが、おそらくこれまでで最多。 うっとりするのが、顔ではなく瞳であるところが大事。 |
■ それに対しての返答は? |
・ 瞬の場合
氷河なんか簡単にぶっ飛ばしてしまえるのに、大人しく押し倒される。 ・ 氷河の場合 「おまえの方がずっと綺麗だ」「おまえの方がずっと優しい」とか答えつつ、やっぱりいつのまにか押し倒しているでしょう。 |
さて、以上のことを踏まえまして、氷瞬CPバトン受け取り記念SSです。 きゃわ宅 典型的(?)氷瞬ストーリー。 |
「瞬、俺はおまえが好きだ」 氷河は突然何を言い出したのだろうと、瞬は思った。 二人はつい先程まで、星矢たちとラウンジで他愛のない話をしていたのである。 そして、いつもの就寝時刻に『おやすみ』を言って解散した。 自室に戻り、今日も何事もなく平和に過ぎていったと 瞬が安堵の息を洩らした時、ふいに氷河が瞬の部屋に入ってきて、開口一番に告げた言葉がそれ。 瞬に驚くなという方が無理な話だったのだ。 だが、瞬は伊達に白鳥座の聖闘士の幼馴染み 兼 戦友をやっているわけではない。 対峙している相手にとっては唐突に思われることでも、氷河には氷河なりの必然性があって――氷河には自然かつ当然なことだから――彼はそういう行動に出るのだということを、瞬はよく知っていた。 つまり瞬は、氷河が経緯の説明を省き結論だけを口にする男だということを、瞬は、これまで彼と共に過ごしてきた時間の中で しっかり学習していたのだ。 だから、その唐突さに驚きながらも、瞬の答えは、 「僕も、氷河が好きだよ」 ――だった。 氷河に 「よかった」 心を安んじたように微笑して、氷河が瞬の両肩に手をかけ、そのまま瞬の身体をベッドに押し倒そうとする。 「ちょ……ちょっと待って、氷河! いくら何でも急すぎるってば!」 これには、さすがの瞬も慌てないわけにはいかず――瞬は慌てて、のしかかってくる氷河の肩を押しやろうとした。 『好きだと告白し、好きだという答えをもらった。だから二人はそういう行為に及んでもいい。むしろ、及ぶべきである』 氷河にとっては、それは、原因からごく自然に導かれる帰結なのだろうが――それは瞬も理解しないわけではないのだが――それにしても この展開は唐突に過ぎ、性急に過ぎる。 だが、氷河にしてみれば、“自然な帰結”に向かう流れを押しとどめようとする瞬の振舞いは 不自然極まりないものだったらしい。 その不自然な振舞いは非常に遺憾である――と言わんばかりの表情を、氷河は瞬に見せた。 「天秤宮で、凍りついていた俺の魂に熱き心を蘇らせたのはおまえの方だ。責任をとれ」 「僕はそんなつもりで……」 その行為がこんな事態を招くとわかっていたら、自分は あの時 氷河の命を呼び戻すことを2秒くらいは躊躇していたはずだ――と、瞬は思ったのである。 無論、自分が行なってしまったことの責任をとることには やぶさかではないが、問題は、その責任を、なぜ今、これほど唐突に、こんな方法でとらされるのかということだった。 瞬の言葉の澱みに、氷河が少し不安げな顔になる。 「おまえは俺が嫌いなのか」 「そんなこと あるはずないでしょう」 「なら、善は急げだ」 「僕が言いたいのはそういうことじゃなくて……!」 「こういうことを先送りにするのはよくない。人間に与えられている時間には限りというものがあるんだからな。大丈夫。俺は一生おまえだけを守って、二股も浮気もしない。おまえも安心して俺だけを見ていろ」 「それは……氷河は色々と危なっかしいから、目をそらせないけど」 「そうだろう。そうだろう。俺はいい男だからな。だが、おまえはそれ以上に可愛いぞ。その上、清らかで優しくて、粋で情熱的でもある。天秤宮で絡みついてきたおまえの脚を、俺は一生忘れない」 「……」 そんなことを冗談でなく真顔で言う男に 大人しく押し倒されてしまっていいのだろうかと、瞬は大いに迷うことになってしまったのである。 その迷いの出口に瞬が辿り着く前に、氷河が少し苛立ったように、そして 責めるように、瞬の名を呼ぶ。 「瞬!」 「な……なに?」 責められるようなことをした覚えはない――少なくとも、瞬にとって、このささやかな抵抗は責められるべきことではなく、突然氷河に押し倒されることになった人間に与えられた当然の権利だった。 自分の何が氷河を不機嫌にしたのかと、瞬はその瞳を見開くことで氷河に尋ね返したのである。 氷河が、彼の苛立ちの理由を分別顔で瞬に知らせてくる。 「物事には常識として認められている手順と礼儀というものがあるだろう。俺がおまえのどんなところが好きなのかを言ってやったんだから、おまえも、俺のどこが好きなのかを答えるのが礼儀というものだ。好きなだけ言っていいぞ。おまえは、俺のどこに惚れたんだ?」 「……」 氷河は、期待にわくわくして嬉しそうに瞳を輝かせ、瞬の答えを待っている。 こういう氷河を可愛いと思うし、決して嫌いではない。 たとえ氷河が自分の行動の唐突さを棚に上げ 他者に“常識的な手順”を求めるような非常識な人間であったとしても――それでも、瞬は氷河を嫌いではなかった。 だが、そんな瞬でも――こういう図々しいことを当たり前のことのように求めてくる男に大人しく押し倒されてしまっても自分は大丈夫なのだろうかと、不安を覚えないわけにはいかなかったのである。 氷河は、瞬の沈黙を、羞恥心によるものか、あるいは恋人に好ましく思える点が多すぎて悩んでいるのだと思ったらしい。 おそらくは親切心から――氷河は瞬に助け舟を出してきた。 「戦っている時の横顔が凛々しいとか」 「……氷河の聖衣のヘッドパーツの白鳥さんは凛々しいと思うけど」 「この美貌にいかれたとか」 「氷河の瞳は本当に綺麗だと思うけど、僕、基本的に面食いじゃないから」 「なら、やはり俺の理知的なところか」 「氷河は絶対零度って、原子の運動が完全停止するマイナス273.15℃のことだと思ってるでしょ? でもね、原子の振動って止まることはないんだよ。エネルギーが最低の状態でも零点振動っていうのをしてるの」 「肉親への情の深さに感動したとか」 「それは氷河のマーマが愛情深くて優しい人だったからでしょう」 「一輝の墓にロザリオを掛けてやった寛大さ――というのもあったな」 「洗礼を受けてない人のお墓に十字架を置くのって、その人の信教を無視してるってことだから、僕は あんまりよくないことだと思うんだ」 「……」 照れて恥ずかしがっているにしては、瞬の反応は妙に冷静かつ至極辛辣なものだった。 瞬はいったい本当に白鳥座の聖闘士に好意を抱いているのかと 疑念を抱くことになっても致し方ないほどに。 「おまえは本当に俺が好きなのか !? 」 氷河の声音が、またしても責め咎めるような響きを帯びてくる。 瞬のそんな様子に、瞬は――瞬もまた再び慌てることになったのである。 瞬は氷河が好きだった。 それだけは――どういうわけか 紛う方なき事実だったのだ。 「お……思い出した! 子供の頃、氷河ってば、スニーカーの紐がうまく結べなかったでしょう。僕が何度正しい結び方を教えてあげても、縦結びにしちゃって」 「そんなことがあったか」 はっきりした記憶がないらしい氷河に、瞬が気負い込んで こくこくと何度も頷く。 「あの時にね、氷河には僕がずっとついててあげなくちゃならないって思ったんだ」 「それで?」 それのどこが美点で長所なのか。 氷河には説明が必要だったらしい。 しかし、瞬にはそれは説明のしようのないことだったのである。 「だから、僕は氷河から離れちゃいけないって思ったの」 それが、瞬の結論だったのだ。 それ以上でもそれ以下でもない。 やわらかく笑って結論だけを告げる瞬を見て、氷河は微妙に顔を歪めることになった。 瞬はつまり、自分は自分の幼馴染みの不器用さに惹かれた(?)――と言っている。 それが事実なら、自分の不器用さに感謝したいとは思うが、恋する男として、やはり それは素直に納得できない結論である――と氷河は思ったらしかった。 「じゃあ、もし俺が靴の紐をうまく結べる男だったら、おまえは俺の側にいようとは思わなかったというのか?」 「え……?」 その通りだと答えたら、氷河が傷付くかもしれない。 瞬は慌てて補足説明を入れた。 「そんなことないよ。普通は隠したがるマザコンを堂々と言動に表す氷河の大胆さは、人目を全然気にしてないようで はらはらするし、追う鹿を見て山を見てないみたいな危なっかしさは、僕が注意していてあげなきゃならないって思うし、やたら感受性が強くて すぐに涙を流すくせに、氷河はハンカチを持ち歩かないから、やっぱり僕が側についていてあげてハンカチ貸してあげなきゃって思うし――」 「いや、俺が聞きたいのは、一般的に美点とか長所とか言われるもので――」 「一般的に美点や長所と言われるもの……」 瞬は氷河が好きだった。 どういうわけか好きでたまらなかった。 好きな人の期待には応えたいと思う。 だから瞬は懸命に考えたのである。 考えの上に考えを重ねて懸命に、自分が可愛いと思う点ではなく、世間一般で『良い』と評価されるような氷河の美点長所を、瞬は何とかして見付けだそうと努めた――努め続けた。 氷河の唐突な告白のせいでカーテンを閉じるタイミングを逸した部屋に、翌朝 新しい太陽の光が射し込んでくるまで。 氷河は瞬の肩をベッドに押し付けた体勢のまま、律儀に待ち続けていた。 氷河はおそらく、瞬がその答えに行き着くまではその先に進むわけにはいかないと考えているのだろう。 朝の光の中で、辛抱強く恋人の答えを待っている氷河の姿を改めて見た時、瞬は、微笑ましさと諦観が入り混じった気持ちで、しみじみ思ったのである。 (こんな氷河だから……僕は氷河になら押し倒されてもいいと思っちゃうんだろうなあ……) 恋は、必ずしも 一般的に美点や長所と呼ばれる事柄に触発されて生じるものではありません。 Fin.
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ゆりさん、バトン、どうもありがとうございました! |