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第1話 Missing

西暦2003年Space Holidayから2年、作者も40代になっていた。

 mnakata「失礼な!!まだ30代だ。 40まではま だ何年かあるわい。2003年は物語の設定の年だ。」

何年もはないと思うが、それにしても、2作目のSpace Holiday 2はシリアスなストーリーを目指して
いながら、mnakataはまだボケ足りないらしい。

話は少し戻って2002年。
艦長、いや地上ではホリデイ部長。まもなく昇進が決まっていた。彼 の勤める支社の支社長になるのだ。

 部長「入りたまえ。」
 マーク「失礼します。」
 部長「重大な話とは一体何だ?」
 マーク「実は、パイロットになりたくて。」
 部長「配置転換の希望か。なら3月まで待て。乗員に空きが出れ ば...」

マークはそこで部長の言葉を遮った。

 マーク「艦長、いえ部長、転職したいんです。」
 部長「えっ?」

唖然とする部長。

 マーク「実は他社からの引き抜きなんです。そっちは訓練施 設や航宙機も、うちの会社よりいいのが揃ってるし。」

なるほど確かにサプライズ社は確かにもともと宇宙船屋ではな かった。新事業も宇宙ステーションや
月面プラントの方に力を入れていた。
マークの転職先は、航宙船メーカであるエクスプローラ社だった。
サプライズ社所有の航宙船も、民間の船は全てエクスプローラ社から 買ったものだ。
あとは軍の払い下げ品である。

マークは取引先であるエクスプローラ社と接触するうち、引き 抜きの話になったようである。

どうでもいいことだが、mnakataは習慣で部長と書くと ころをついつい艦長とタイプしそうになる。

 部長「...少し考えさせてくれ。」
 マーク「わかりました。また来ます。」

部長は考え込んだ。転職したい者がいるときはこれまでは噂等 で伝わって来ていたが、今回は突然だった。
部下からの信頼もあるマークがなぜ?
 

幹部はマークを説得したが、マークの意志は堅く、
2ヶ月後、マークは部下2人を連れてエクスプローラ社に移って行っ た。

マークは最新設備の整った訓練施設で訓練の後、希望通り、次 期木星調査計画のパイロットに抜てきされた。
 

広い支社長室。支社長席のゆったりした椅子に座る男が一人。 ホリデイ支社長だった。
ホリデイは火星行きの成功で実績が認められ、支社長に昇進してい た。
支社長席の電話でホリデイが話している相手はマークだった。

 ホリデイ「おめでとう。望みがかなったな。それに木星行き なんてすごいじゃないか。」
 マーク「ありがとうございます。新型船に乗れるんです。」

電話のモニタにマークのうれしそうな顔が映る。

 マーク「ホリデイさんこそ、支社長昇進おめでとうございま す。
 ホリデイ「ありがとう。」

ホリデイは窓の外に目をやった。晴れ渡った夜空に満月が静か に微笑んでいる。

 マーク「また家族とはしばしの間離れて暮らすことになりま すが。」
 ホリデイ「そうだったな。でももう分別のある年令だし、彼女達に とっては自慢の父親じゃないか。」
 マーク「そうかも知れませんね。」

しばし歓談して、ホリデイは電話を置いた。エンターサプライ ズ号を降りてから、ずっと地上での仕事で忙しい日々を
送っていたので、宇宙のことはすっかり忘れていた。

 ホリデイ「艦内は狭くて窮屈だったがそれなりに充実した時 間だった。あっという間の1年だったな。」

ホリデイは席を立つと、窓辺に歩み寄った。エンターサプライ ズでの生活を懐かしそうに思い出しながら
窓の外の夜景に目をやるホリデイだった。
 

今日はマークが木星に出発する日。妻のレイチェルと2人の子 供達は自慢のパパを見送った。

 レイチェル「あなた、気を付けてね。」
 子供達「お土産買って来てね!!」
 レイチェル「まあ、この子達ったら...」

苦笑するレイチェル。

 マーク「じゃあ、行ってくるよ。留守中、困ったことがあっ たらホリデイさんに相談するといい。」
 レイチェル「わかったわ。行ってらっしゃい。」

走り去るマークの車。
 

マークは木星の衛星ガニメデ探索班の一員として新型船ジュピ ター(安直なネーミング...)に乗り込んだ。
ジュピターはカタパルトも最新だった。
20世紀のNASAの船スペースシャトルは、成層圏まで到達するの にブースターロケットを3基も積んでいたが、
ジュピターにはブースターは不要で、その代わりにこの新型リニア モータ付きカタパルトで打ち上げられた。

 管制センター「ジュピター、パラメータ異常無し。発進シー ケンスON。」

リニアモータにスイッチが入った。重いジュピターの機体が大 形のパレットの上で静かに浮き上がる。
徐々に加速するジュピターを載せたパレット。
ジュピターは直線にして約1kmのレールの上を滑走した。数秒で時 速500kmに達した。

その後メインエンジン点火とともに、空に向けて水平から垂直 へと大きな弧を描くレールに沿って、ジュピターは走り続けた。
遠心力に押し付けられて必死の形相のマーク達を乗せて。

あっと言う間にジュピターは天空に向けてパレットから放り出 された。成功だ。
ブースターなしで成層圏を超えた初の宇宙船だった。雲を突っ切り、 次第に空の彼方へと吸い込まれて行く。
ジュピターは順調に航行し続け、その模様は初の有人木星探査船とし て、世界中に伝えられた。

歓声が上がるエクスプローラ社内。

ジュピターはエクスプロ−ラ社発の長距離航行船で、安全性も 格段に高かった。船内も広めで快適な生活が
送ることができた。宇宙に出てしまえば後は心配なかった。

ところが、出発してまだ3日目、まだようやく月軌道を過ぎた ばかりのところで、船内から地上に向けて異常が伝えられた。

 ジュピターの船長「メーデーメーデー、こちらジュピター。 メインコンピューターに異常。操縦不能に陥った。
  現在慣性航行中。」
 エクスプローラ社「了解。至急調査する。」

ジュピターのデータは全てエクスプロ−ラ社に送られて来る。
異常は確認できたが原因がわからない。サブコンピュータも機能して いない。原因不明のまま、ジュピターは
慣性航行を続けた。

だが、エクスプローラ社のオペレータがほんのちょっと目を離 した間に、ジュピターからの応答が途絶えた。

船長からの通信を最後に、ジュピターは消息を絶った。

地球からはジュピター捜索のために、エクスプローラ社からの シャトルが3基飛び立った。
追い掛ける相手は長距離用の航宙船ジュピターだが、消息を絶った地 点まではシャトルで十分だった。

 シャトルの船長「こちらオービス1。現在3基でジュピター のシグナルを3角測量方式で特定中ですが、
  発見に至りません。」
 エクスプロ−ラ社「了解。磁気センサで広域を探査してくれ。」

捜索の結果、はるか前方に船の残骸がセンサで発見された。そ れらは慣性スピードでそのまま遠ざかっていくため、
シャトルでは到底追えなかった。

結局、ジュピターは何らかの事故で船体が崩壊したものとして 片付けられた。
ジュピターがエクスプロ−ラ社に送って来た全データを解析したが、 事故原因は特定できなかった。
コンピュータ異常の記録は残されていたが、船体崩壊につながる情報 は何ひとつ無かった。

また、コンピュータの異常についても、その原因となるような 要因を特定できなかった。

それからしばらくしてマークの妻レイチェルは、2人の子供を 置いて失踪した。

再び西暦2003年。
フィオリーナは報告書を目を通して頭をかかえていた。
(フィオリーナについてはSpace Holiday 第8話を参照いただきたい。)

 フィオリーナ「まさか、そんな。」

しばらく考えてから、電話を取った。

 フィオリーナ「私よ。ホリデイをお願い。」

ホリデイはエレベーターで社長室に向かっていた。サプライズ 社の最上階。
エレベータを降りると、フカフカの絨毯がずっと続いていた。両側の 部屋は全て重役室。
ホリデイは支社長とはいえ、地方の支社を任されているに過ぎない。 緊張していた。
突き当たりが社長の部屋だった。ホリデイはおそるおそるノックし た。

 フィオリーナ「どうぞ。」
 ホリデイ「社長、失礼します。」
 フィオリーナ「社長、だなんて。フィオリーナでいいわよ。」

そう。ホリデイの机より2まわりも大きな机の向こうに、これ また大きな椅子に座って顔を上げたのは、
社長のフィオリーナだった。
フィオリーナはサプライズ社のCEO(最高経営責任者)に出世して いた。
(第8話での)失敗は資材発注先のミスとわかり、また、彼女にとっ ては不可抗力と断定され、
降格にはならなかった。それどころか月面での成功に続いて事業化に 努め、ついに
社長にまでなったのだった。

 ホリデイ「朝っぱらから私に何の用だい?」

ホリデイは夜型、フィオリーナは朝型だった。
フィオリーナはモーニングコーヒーを2杯入れるとホリデイにも勧め た。

 ホリデイ「社長も自分でコーヒー入れるんだな。」
 フィオリーナ「そうよ。21世紀にもなって女性がお茶汲みしてる ような会社はすぐに潰れるわ。
  来週にはお茶汲みを始めくだらない業務は全て撤廃するの。全社 でね。」

ドラスティックな改革と斬新な発想で若手幹部の人気を得てこ こまでのし上がった彼女だった。

 フィオリーナ「エンターサプライズ号のツアーが先週から中 止になったのは知ってるわよね。」
 ホリデイ「ああ。メンテナンスのため一時中止らしいな。」

エンターサプライズは火星から還ったあとは、宇宙ステーショ ンとして上空3万6600kmの静止軌道上にいた。
火星展示館として開放されていた。
地上からのシャトルで艦内を見学できたが、高額な旅費のためクライ アントは資産家に限られ、
ツアーも年に1回程度しかなかった。
一方で、艦内には数十台のカメラと、カメラ付きロボットが置かれ、 地上のインターネットから
有償で操作できるようになっていた。こっちの方は連日の人気で、世 界中のネットサーファーからの
アクセス料を稼いでいた。
特に人気だったのは船外のカメラ付きロボットで、空気のない宇宙か らは星が鮮明に見えるとあって、
また、北半球から見えない南十字星その他が見られるので、回線はい つも混んでいた。

だけど実際、そんなもの見たがる人いるのかなあ。

 mnakata「まあ、いいじゃん。3流SFだし。」

それもそうだ。話を戻そう。

 フィオリーナ「実は、ここだけの話だけど...座って。」

フィオリーナは社長席から隣のソファに移って、テーブルを挟 んで向かい側のソファにホリデイを
座らせた。

 フィオリーナ「実は大変なことになってるの。」
 ホリデイ「な、何だって? 本当か?」
 フィオリーナ「まだ何も言ってないわ。」

細かいボケはやめて欲しい。

 フィオリーナ「実はね...」

フィオリーナは事の次第を話した。

 ホリデイ「ほ、本当か? 信じられん。」
 フィオリーナ「本当よ。それでね、あなたに頼みがあるの。」

場面は変わってフェリックスの家。
フェリックスとミケは同居していた。だたしレイチェルの2人の娘サ ラとも一緒だった。

 ミケ「おちびちゃん、早く起きなさい。サラはもう着替えて るわよ。」
 リンダ「ちびちゃんじゃないもん。」

膨れっ面をしてしぶしぶ起きるリンダ。4人でとる朝食。

 サラ、リンダ「ミケママ、行って来ま〜す。」
 ミケ「気を付けてね。」

戸口で2人の自転車を見送り、ひとりつぶやくミケ。

 ミケ「ミケママか。」

そのとき家の奥からフェリックスが呼んだ。

 フェリックス「ミケ、艦長、いやホリデイ支社長から電話 だ。」
 ミケ「ええっ何かしら。」

(第2話につづく)



第2話 出番争い?

 ホリデイ「それにしても、どうなるんだろうね。この続 き。」
 スポット「さあ。それより私にも出番があるんですね。ほっとしま した。」
 ホリデイ「この第2話だけかもよ。」
 スポット「そんなあ。」
 ホリデイ「じゃあ、通行人Aとか。」
 スポット「文字ばかりのSpace Holidayシリーズで台詞のない役なんて意味ないじゃないですか。
  それにこれでも私は以前はメインキャラのひとりだったんです よ。」
 ホリデイ「じゃあ、オープニングイラストに入れてもらうとか。」
 スポット「確かに目立つけど...うれしくない!」
 ホリデイ「Dr.タマが復活の噂もあるし。」
 スポット「そんなあ。ところでタマって誰でしたっけ?」

 mnakata「私も忘れた。作者に内緒で一体誰がそんな 噂を...」

こんなことを書きながらスポットの出番を考えたけど、なかな か思い浮かばない。
本編再開まで(たぶん週末)に、なんとか考えておこう。

(本編の前に謎の第3話をどうぞ)


第3話 金の斧銀の斧

まだ本編じゃないよ〜だ。

昔昔昔、その昔(どれだけ昔やねん)、コロラド州の片田舎に ホリデイとフィオリーナという
老夫婦が住んでいた。

 ホリデイ「ば〜〜さんや。」(常田富士男風に読んでね)
 フィオリーナ「なんだい、じいさん。」(市原悦子で)
 ホリデイ「おらたちにゃ、子供がいねーべや。」
 フィオリーナ「んだな。お地蔵さまにでもたのんでみっか。」

その野良仕事の帰りに、じいさんはお地蔵さまに拝んでみた。
次の朝、じいさんはばあさんに起こされた。

 フィオリーナ「じいさん、夕べ夢見ただ。観音様が現れ て...」
 mnakata「ちょっと待て。何でコロラドで地蔵や観音 が...」

まあ、いいじゃん、細かいことは。それで夢の続きはどうなっ た?

 フィオリーナ「...明日の朝早く山ン中さ行って泉の畔で 竹を切れとさ。」
 ホリデイ「う〜む、面妖な。でもものは試し、行ってみるべか。」

翌朝、ホリデイが山の泉の畔で竹を切ろうと斧をふり降ろした が、手許が滑って
斧を泉の中に落としてしまった。

ぶくぶくぶく。泉の中からmnakataが現れた。頭には斧 がささっていた。
いや、mnakataはなぜか安全第一と書かれたヘルメットをか ぶっていたので
怪我はなかった。

 mnakata「このじじいめ、これでもくらえ!!」

mnakataは斧をヘルメットから引き抜くと、じいさんめ がけて投げ付けた。

クルクルと回転しながらじいさんの正面に迫り来る斧。
じいさんはなぜか黒いコートを来て大きく後ろに仰け反って斧を避け た。

斧は勢い余って後ろの竹を斜めに切り落とした。にやりと笑 い、泉に消えて行くmnakata。
果たして全ては計算ずくだったのか。

じいさんが後ろを振り返ると、竹の中に光り輝く小さな女の子 がいた。

 ホリデイ「おお、なんとめんこい子じゃ。観音様の思し召し に違いない。
  家に連れて帰って大切に育てよう。」

家に帰るとばあさんは大層喜んだ。

 フィオリーナ「ほんにめんこい子じゃのう。じいさん、あっ りがとな〜。」

女の子はかぐや姫ではなくてミケと名付けられてすくすくと大 きくなった。
美しいミケに、皇族マークや侍フェリックスがアタックする暇もな く、
ミケは月に帰ってしまった。

出番が無かったマークとフェリックスは、助けた亀のエンター サプライズに乗って、お礼に月の都まで
連れて行ってもらった。

月の都のラウンジバー”ムーンライト”では、乙姫さまや金魚 の舞い踊り。
マークとフェリックスには相変わらず台詞が無かったが、それでも夢 のような毎日を過ごしたので
気にならなかった。
その代わり、彼等には1つだけ気になることがあった。そう、月に消 えたミケを毎日毎日探した。
大勢の乙姫に出会ったが、ミケはいなかった。

そして幾星霜が過ぎ、いつしかマークもフェリックスも年老い ていった。
マークはちゃっかりと地元の乙姫レイチェルと所帯を持って2児をも うけていた。
フェリックスは乙姫さまや金魚にも飽き、ミケを探すのは諦めて、 ぼーっと懐かしそうに故郷の地球を眺めていた。
昔昔あの星からここに渡って来たんだなあと、青く美しい星に、しみ じみと思い出に浸るフェリックス。

フェリックスが日の当たる縁側で、静かに熱いお茶を飲んでい たある日、何の予告もなくミケは彼の前に現れた。
育ての親であるフィオリーナとホリデイの元から、月へと旅立ったあ の日と変わらぬ美しい姿で。
驚きのあまり湯呑みを取り落とす。手を離れた湯呑みが、お茶をこぼ しながらスローモーションのように
地面に落ちて行く。

地面にささって地下100mまでもぐる湯呑み。くずれるドー ム。空気が薄い。青空をバックにパレードの紙吹雪の
ように舞う無数のエーデルワイス。激しいめまい。高鳴る鼓動。

可憐な花のひとつがフェリックスの手の上に降って来た。

あたりに降り続くエーデルワイス。優しそうににっこりと微笑 みかけるミケ。綺麗な瞳をしている。

 ミケ「ずっとずっとあなたをお待ちしていました。」
 フェリックス「き、君は...」

次第に意識が遠のいて、彼女の笑顔がかすんで見える。

そこで目が覚めた。隣にはハンドルを握るミケがいた。そう、 ホリデイからの電話で呼び出されて、
フィオリーナの待つ本社に、ブルーのサンダーバードで向かう途中 だった。
フェリックスはうたた寝をしたのだ。

 フェリックス「ミケ、愛してるよ。」
 ミケ「朝っぱらから何言ってんの?」
 フェリックス「ホリデイが斧を投げたら竹に当たって中から君が出 て来て、それからマークと一緒に
  月まで行って金魚が踊ってた。」
 ミケ「えっエンジン音でよく聞こえないわ。ホリデイが月まで行 けって? 電話でそんなこと
  言ってたかしら?」

フェリックスはまだ寝ぼけていた。
車は田舎道を時速100マイルで飛ばした。本社まではあと30分ほ どだった。

ところでタイトルの金の斧銀の斧って一体...

(週末の第4話に続く)



第4話 Missing 2

    

スポットも本社へと白のポルシェを飛ばしていた。社長に呼び出されて本社に出向いたホリデイから、
さらに自分まで呼ばれるなんて、尋常な事態でないことを察したスポットは、
アクセルを踏む足に力を入れた。

 スポット「エンターサプライズのツアー中止の件に違いない。何か裏がありそうだな。」

車はやがて街に出た。サプライズ社本社のビルが見える。
スポットは本社の地下駐車場に車を止めると、最上階に向かった。

セキュリティカードで通路に出て、毛足の長い絨毯の上を歩いて行った。社長室のドアをノックすると、
先に着いていたフェリックスとミケ、それにフィオリーナとホリデイが出迎えた。

 スポット「一体何があったんだい?」
 ミケ「私達もまだ何も知らされてないの。」
 フィオリーナ「全員揃ってから話そうと思って。」

皆でデスクの隣のテーブルを囲む。

 フィオリーナ「実は、エンターサプライズが3日前から行方不明なの。」

一同、驚きのあまり声も出ない。
しばしの沈黙。

 ミケ「ということは少なくとも墜落したんではないということですね。」
 フィオリーナ「ええ。そう。破壊された痕跡もないの。あるはずの場所にないだけじゃなくて
  定時通信も途絶えて...」
 フェリックス「人工衛星関係は全て天文台で観測して位置を把握されているのでは?」
 フィオリーナ「そこがよくわからないのよ。メンテナンスのためツァーを中止にしたまでは事実
  なんだけど、作業は4日前に終わったの。その後人が引き上げてから、数時間後に連絡が
  途絶えて消息を絶ったの。」
 フェリックス「エンジンを始動して地球の軌道を離れたとか。」
 フィオリーナ「航行の痕跡がかえって目立つわね。まだ赤道上のどこかにいるはず。」
 フェリックス「じゃあ、一体どうやって姿を隠しているんだろう。」
 スポット「艤装ですね。電波望遠鏡で引っ掛からないようにシールドしているんでしょう。」
 フェリックス「そんなことが本当に可能なんですか?」
 スポット「エンターサプライズは太陽風(デリンジャー現象)をプラズマの帆で捉えて航行することは
  周知のとおりですが、そのプラズマの向きを調節すれば理論的には可能です。」
 ホリデイ「何者かに盗まれたということか。バカな。」
 スポット「あり得ない話ではないでしょう。エンターサプライズが元々軍艦だった頃の推進システムは
  イオンロケットのみでしたが、現在の推進システムは太陽風による高速帆走も可能です。
  仮に軍事目的だとしても十分な動機になるでしょう。」
 ミケ「一体誰がそんなことを...」

考え込む一同。
ふと、フェリックスが思い出したようにフィオリーナに尋ねた。

 フェリックス「ところでこのメンバーを集めたのは何のためなんですか?」
 フィオリーナ「エンターサプライズ捜索のためよ。まずは電波望遠鏡で再度捜索にトライしたいんだけど。」
 フェリックス「この前失敗したのに、今回は何か策があるんですか?」
 スポット「エンターサプライズのメインコンピュータの出すわずかな電磁波を捉えるんですね。」
 フィオリーナ「そのとおり。」
 ミケ「前回とは違ってたくさんの電波望遠鏡とコンピュータの協力で探し出すんですね。」
 フィオリーナ「そう。犯人に気付かれないためにも、多くのアンテナ(電波望遠鏡)とコンピュータが必要なの。
  瞬時に計算が終わるから、気付かれなくて済む。それに、今回エンターサプライズが消えたことも
  世間にはしばらく隠しておきたいの。」

2001年には夢物語だったグリッドコンピューティングが、2003年には当たり前の世の中になっていた。

 フィオリーナ「それからね、もう一つあるの。実は、もしエンターサプライズの座標を特定できたらなんだけ ど、
  シャトルでエンターサプライズまで行って欲しいの。」
 一同「ええっ!!」
 スポット「それでエンターサプライズの乗員だったわれわれが召集されたんですね。」
 ミケ「ちょっと待って。今気付いたんだけど、エンターサプライズのエンジン起動シーケンスは、
  エンターサプライズが宇宙ステーションになってからは封印されてたはずだけど。」
 スポット「起動シーケンスのパスワードを知っているのは元乗員だけですね。」
 ホリデイ「そんな、まさか。」
 フェリックス「信じられない。それが我々に白羽の矢が立った本当の理由か。」

 フェリックス「それにしてもエンターサプライズまで直接行くのは危険過ぎませんか? 相手が誰だか
  わからないのに。」
 フィオリーナ「そうね。それで今回、みんなに新しい仲間を紹介するわ。」

一同は社長室を出て、エレベーターで屋上に向かった。1台のヘリコプター。客席にはフィオリーナの言うとこ ろの
”彼”がいた。

 フェリックス「こ、これは...」

ミケとフェリックスは本社を後にすると天文台の制御センターに向かった。フィオリーナがグリッドコンピュー タの
使用を1時間後に設定してくれていたので、制御センターで天文台からのデータをグリッドシステムに転送する
設定を依頼するためだ。再び車を飛ばすミケ。

 フェリックス「うまく行くかな。」
 ミケ「大丈夫よ。エンターサプライズのコンピュータの固有信号を解析するプログラムはSETIのと
  同じアルゴリズムよ。必ず座標を特定できるわ。」

(注:制御センターは架空のものだが、SETIは実際に存在する機関である)
制御センターに着くと、端末の1つを借りて、ミケはグリッドコンピューティングへの転送設定を行った。

 ミケ「10分後に観測開始。アンテナ群からのデータはグリッドに送信される。」

10分後。アンテナからデータが収集された。時間は10秒足らずだった。設定通りにグリッドにデータが送ら れる。
世界中のコンピュータは、たったの0.3秒でエンターサプライズの座標を弾き出した。座標はすぐに本社に転送され た。

計算の原理は簡単である。エンターサプライズのコンピュータの出す電磁波のパターンが、電波望遠鏡で各観測 される
時刻の差異から座標を計算できる。カーナビのGPSとよく似た方法である。

本社。

 フィオリーナ「やはり赤道上ね。」
 ホリデイ「そういえば、誰と誰がシャトルに乗り込むんだい?」
 フィオリーナ「私以外の4人よ。」
 スポット「ミケとフェリックスの留守中、サラとリンダはどうしますか?」
 フィオリーナ「うちで預かるわ。」

 ホリデイ「それと、シャトルの艤装はどうするんだ。今からじゃ開発は間に合わんだろう。」
 フィオリーナ「1人用ポッドでなんとかならないかしら。」
 スポット「ポッドを電磁波吸収素材でコーティング素材でコーティングすればよいでしょう。
  シャトルではエンターサプライズに感知されない距離まで近付いて、そこから先は
  ポッドの慣性力でじわじわと近付けば、まず相手に気付かれることはないでしょう。」
 ホリデイ「ステルス・ポッドか。」

フィオリーナ邸。夫と2人暮らしである。

 リンダ「大きなお庭。」
 サラ「プールがある。しかも屋内プール!! フィオリーナさん、あとで泳いでもいい?」
 フィオリーナ「ええ、いいわよ。でもその前にお食事にしましょ。彼は今日は仕事で遅くなるそうだから。」

広いダイニングルーム。食事の支度をするフィオリーナ。

 サラ「いつもメイドにやってもらってるのかと思ってた。」
 リンダ「メイドはいないみたい。」
 フィオリーナ「私は本当は朝食係。彼が夕食係よ。」
 サラ、リンダ「ふ〜ん。」

 サラ「ところで、ミケママたちは何の仕事なの?」
 フィオリーナ「それはね...」

フィオリーナは言おうとして言葉を飲んだ。でもサラとリンダは勘の鋭い子供達だった。
にわかに彼女らの表情が曇る。

小声でつぶやくサラ。

 サラ「宇宙船に乗るのね...」
 リンダ「そんなのやだ。」

泣きじゃくるリンダ。
フィオリーナはサラダの野菜を刻む手を止めて、2人の側に来ると、両手で彼女らを抱き寄せた。

 フィオリーナ「大丈夫よ。今度はホリデイおじさんやスポットおじさんも一緒だから。」

そう言いながらフィオリーナは彼女らの頭をなぜて彼女らをなだめた。

食事の時もまだ彼女らは表情が重かった。

 フィオリーナ「食後にピアノ弾いてあげる。」

リビングには大きなグランドピアノ。フィオリーナが弾いたのはショパンのポロネーズ集だった。
目をまるくしたりうっとりしたり、聞き入る2人。

 サラ「すご〜い!!」
 リンダ「かっこいい!!」
 フィオリーナ「ありがとう。ねえ、弾いてみる?」
 サラ「いいんですか?」
 リンダ「わーい。」

サラは学校で習ったばかりのサウンドオブミュージックメドレーを弾いた。リンダのはでたらめだったが、
それでも3人ははしゃぎながらピアノを弾いて遊んだ。

エーデルワイスを弾きかけたところで、サラがいいことを思い付いた。

 サラ「そうだ。エーデルワイスを作ろうっと。」
 フィオリーナ「え?」
 サラ「パパが前に教えてくれたの。フェリックスが火星に降り立つ時、ミケママがお守りにエーデルワイスを
  プレゼントして、それでうまく行ったんだって。」
 フィオリーナ「そんな話もあったわね。それで?」
 サラ「紙で作るわ。」

サラとリンダは、日本趣味だったマークから教わった折り紙のやり方で、器用にエーデルワイスの
花を4つ折り上げた。

 フィオリーナ「見事ね。これをホリデイ達に渡せばいいのね。」
 サラ「うん。お願い。」
 フィオリーナ「わかった。ちゃんと届けるわ。」

それから彼女らは、ゲームをしたり、またピアノを弾いたりして夜遅くまで楽しいひとときを過ごした。

 サラ「帰りたくなくなちゃった。」
 リンダ「あたしも!!」
 フィオリーナ「まあ、この子達ったら。」

フィオリーナの夫が帰宅する頃には、3人はぐっすりと寝入っていた。
寝室に入ると、夫婦のベッドはフィオリーナとかわいい2人のおちびちゃんに占領されていた。

 アルバート(夫)「自分にもこんな子供たちがいたら...」

フィーリーナの額にそっとキスをすると、彼女らの毛布を掛け直して、目を覚まさせぬよう静かに寝室を出た。

 アルバート「今夜は客用の寝室で寝るとしよう。その前に一杯やるか。」

窓辺でブランデーグラスを傾けながら、月を眺めた。今夜の仕事はさんざんだったが、それでも彼女らの
お陰で今は上機嫌だった。明日は仕事をばん回できる気がした。

翌朝、シャトルはリニアモータのカタパルトを勢い良く飛び立って行った。
ホリデイ、スポット、ミケ、フェリックス、それに本社の屋上の”彼”を乗せて。

サプライズ社も自前でリニアモータのカタパルトを持つようになっていた。
宇宙船メーカや宇宙旅行社へのカタパルトのレンタルでなんとか採算が取れた。
サプライズ社のカタパルトはユニークだった。
ループが横型である。高さを抑えられるので、巨大なループ状の構造が可能である。ループはスパイラル状に
3回転もしてから飛び出す構造だった。そのため、加速度が小さくて良く、乗員の身体への負担が軽かった。
民間人の乗るツァー用の宇宙船の発射台としてはうってつけだった。

ホリデイらを乗せたシャトルは直径1kmものループをスパイラル状に回りながら次第に加速して行く。最終 ループの末端は少し
上を向いていて、シャトルは晴れた空に勢い良く飛び出して行った。

 フェリックス「こんな任務で再び宇宙に出るなんて、思ってもみなかった。」
 ミケ「そうね。」
 ホリデイ「私もだ。」

 ミケ「そうだわ。フィオリーナさんからの預かり物なんだけど...」

サラとリンダがお守りをして作った折り紙だった。
緊張していた皆だったが、にっこり笑って折り紙を受け取ると、めいめいポケットに収めた。

上昇するに連れて青空は次第に黎明の空の色へ、そして漆黒の宇宙の色へと変わって行く。
やがて静止軌道上に到達して、目標座標に近付いた。レーダーでは捉えられないが、可視光によるCCDカメラでの
映像は、エンターサプライズの船影を捉えていた。

 ホリデイ「エンターサプライズだ。」
 スポット「低濃度のプラズマを発しています。やはり艤装ですね。」
 フェリックス「では、ステルス・ポッド発進の準備を。」
 ミケ「了解。」

ミケの操作でホリデイ達のシャトルからステルス・ポッドが射出された。慣性力でエンターサプライズへと
ゆっくりと近付いていく。

(第5話をお楽しみに!!)



第5話 スペース・アシボ

    (← 何だ、これは?)

アルバート(フィオリーナの夫)は、仕事に出かけるついでに サラとリンダを学校まで車で送って行った。

 サラ「アルバートさんもピアノ弾くって本当?」
 アルバート「ああ、そうだよ。でもここのところ仕事が忙しくてな かなか練習する時間がなかったなあ。」
 サラ「フィオリーナさんと連弾とか。」
 アルバート「う〜ん。若い頃はそんなこともしたような。」
 リンダ「サラは来週発表会なの。連弾で出るの。アルバートも聴き に来てくれる?」
 サラ「リンダ、無理言っちゃだめよ。お仕事で忙しいんだから。」
 アルバート「いや、なんとかなるかもしれん。是非聴きに行かせて もらうよ。」
 サラ「本当!? 約束よ。」
 アルバート「わかった。約束するよ。都合が合えばフィオリーナも 連れてくるよ。」
 サラ「楽しみにしてます!!」

アルバートは大学教授である。昨日は教授会でもめて残業して まで議論を続けたが、結論が出なかった。
ところが、昨夜からの小さなお客さん達のお陰で、気持ちがほぐれて 今朝は折衷案としての新しい
アイデアが浮かんでいた。既に朝のうちに対立する相手方の教授と電 話で打ち合わせて、昨日とは
打って変わって了解を得られていた。
彼女らのお陰でもめ事を避けられたのだ。ピアノの発表会のために時 間を割くくらいお安いご用だ。

彼女らの学校が見えて来た。

 アルバート「帰りも迎えに来るから携帯に電話してくれるか な。」
 サラ「わかりました。それと、今日はリンダと一緒に帰ります。」
 アルバート「そうしてくれると助かるよ。」

 サラ「ところで今日の夕食は誰が作るんですか?」
 アルバート「今日はフィオリーナはエンターサプライズの件で遅く なりそうだから、私が作るけど、
  それがどうかしたかね?」
 リンダ「フィオリーナが、アルバートの作るディナーは最高 よ!!って言ってたの。」
 アルバート「そ、そうかい。」
 サラ「あ、アルバートさん赤くなってる。」
 アルバート「おいおい、大人をからかうなよ。そうだ、何を作るか は考えてなかった。
  帰りはお買い物を手伝ってくれるかい?」
 サラ「喜んで。」
 リンダ「リンダ、張り切って手伝っちゃう!!」

サラとリンダを学校まで送り届けると、アルバートは仕事先へ と向かった。

 アルバート「連弾か...そうだ、フィオリーナの仕事が片 付いたら家でパーティーを開こう。
  あの娘たちも招待するとしよう。ホームパーティーなんて何年ぶ りだろう。」

フィオリーナの会社関係のパーティーや、アルバートの学会の パーティー等、互いのパーティーには
夫婦揃って時々参加していたが、周囲に気を使うばかりでフィオリー ナもアルバートもうんざりしていた。
ホームパーティーならきっとフィオリーナも喜ぶだろう。アルバート はパーティーのイベントを
あれこれ考えながら車を走らせた。

ホリデイ達のシャトルの方では、ステルス・ポッドが1時間か けてじわじわとエンターサプライズに到着しようと
していた。

 フェリックス「エアロックに到着。これより艦内への侵入を 試みる。」

ポッドがエンターサプライズの船体に静かに密着して、ポッド の扉が開く。エンターサプライズの
エアロックを手動で開く。船の中は照明が消えていた。

 フェリックス「近赤外線カメラ起動。」

緑色の視界が広がり、艦内の様子が見えて来た。そのまま艦内 に潜り込む。居住区は回転していないので、
中は無重力状態だ。マグネットブーツで艦内を歩く。
居住区と船体を接続するシャフトまで行こうとした時、先に明かりが 見えた。

 フェリックス「ホリデイ支社長、明かりが見えます。」
 ホリデイ「慎重に進んでくれ。」
 フェリックス「了解。」

赤外から通常カメラに切り替える。先に進むと複数の人影が見 え、話し声が聞こえた。

 男1「誰だ!!」

フェリックスをライトが照らす。

 男2「フェ、フェリックス? でも体型が、やけに大きいよ うな...」

 フェリックス「ホリデイ支社長、彼等の1人は私の名前を 知っているようですね。」

別の男がフェリックスの足を向けて拳銃で撃った。
フェリックスはにやにやした表情のまま平気で彼等に近付いてくる。

 男1「これでもくらえ!!」

マシンガンが火を吹く。

 男2「バカ、よせ。止めるんだ。」

遅かった。フェリックスは蜂の巣だった。いや、それは猫の着 ぐるみが破れただけだった。
中から白いロボットが現れた。アイボのソニーとアシモのホンダが共 同開発した、猫耳付き人型ロボットだった。
チタン合金で強化されたボディーには傷一つついていない。
そう。このロボットこそホリデイ達が本社の屋上のヘリコプターの中 でフィオリーナに見せられた”彼”だった。
”彼”は文字どおり猫をかぶっていたわけだ。

 男2、3「こうなったらこいつの出番だ。」
 男1「やめとけ!!」

彼等のロケットランチャがロボットを狙う。

 フェリックス「ふふん。スペース・アシボをなめるなよ。」

フェリックスはにやりと不適な笑みを浮かべると笑うと、ロ ケットに照準を合わせてロックした。
フェリックスはホリデイ達と一緒にシャトルの中にいた。ステルス・ ポッドに乗っていたのはこのロボット、
スペース・アシボだった。フェリックスはHMD(ヘッドマウント ディスプレイ)とマニピュレータを使って
リモートでスペース・アシボを操作していた。

フェリックスは高速モーションシーケンスを起動した。スペー ス・アシボの腕のアクチュエータが唸りをあげる。

 フェリックス「見てろよ。」

ロケットが火を吹き、スペース・アシボめがけて真直ぐに迫 る。次の瞬間、驚くべき早業でスペース・アシボは、
着弾寸前のロケットをつかみ取った。ホンダが担当した本体頭部には 6個の超高速 画像処理装置付きの
カメラが仕込まれていて、ロックしたターゲットの位置をリアルタイ ムで捕捉できた。また、腕は軽量ながら
世界最高速度のアクチュエータを備えていて、ターゲットが音速で動 いていても捕まえられる優れものだった。

また、ソニーが作った耳は伊達ではなかった。一方、しっぽは 単なる飾りだった(何やねん)。
耳は超高精度の磁気センサーで、画像処理装置とあいまってターゲッ トの位置を高精度に捉えた。

スペース・アシボはロケットを180度回転させて彼等に向け て手放した。
腕のアクチュエータは再び静かになった。高速動作は電池を消耗する ので、高速モーションシーケンスは
短時間のみ動作可能だった。

 男1、2、3「わぁ〜!!」

ロケットは彼等の頭上をかすめて、すぐ向こうの壁で炸裂し た。
男達は爆風でふらふらになりながらも起き上がると、一目散に逃げて 行った。

 フェリックス「待ちやがれ。逃がすもんか。」
 ホリデイ「放っておけ。それより艦内で何が行われていたか調査す るんだ。」
 フェリックス「了解。」
 ホリデイ「ミケ、スポット、ステルス・ポッド経由でエンターサプ ライズのメイン・コンピュータのデータを
  ダウンロードしてくれ。」
 スポット「わかりました。」

エンターサプライズの先端から1隻のシャトルが出て行くとこ ろがスクリーンに映し出された。

 ホリデイ「レーダーには映っていない。追跡は無理か。」

スペース・アシボを使ってフェリックスは艦内をくまなく調査 した。
銃火器は彼等が使っていた拳銃等のみだった。どうやら相手は素人ら しい。軍が相手ではないと知って
ちょっとほっとしたフェリックス。
だが、かつてのミサイル発射口等、エンターサプライズを軍用艦とし て復活させるために必要な
箇所は、再び使用可能な工事が施されていた。
彼等の目的がはっきりした。盗んだエンターサプライズを軍に再販す るつもりだったのだ。
犯人は軍に癒着した悪徳企業に違いない。

エンターサプライズが軍からサプライズ社に払い下げられた時 の推進システムは、今や低速のイオンエンジンのみ
だったが、ホリデイ達の火星行き長期出張のため、太陽風による帆走 システムが取り付けられ、高速走行が
可能になっていた。犯人達はそこに目を付けたのだろう。

 ミケ「どうなるんでしょう。」
 ホリデイ「後はFBIと航空宇宙局の出番だ。彼等の調査が終わっ たらエンターサプライズは我々の手に戻る
  ことになるだろう。帰還しよう。」

スペース・アシボは航空宇宙局の監視のためエンターサプライ ズに残した。シャトルは再び地上に向かった。

 ホリデイ「ミケ、フェリックスとは結婚式を挙げないの か?」
 ミケ「そうね。子供達のことでうやむやになってたわ。でも当分お 預けになりそう。」
 ホリデイ「そうか...」

アルバートの仕事は順調に片付いた。議論もさらりとかわして 同僚は唖然としていた。

夕方にはおちびちゃんたちから携帯電話にメールが入ってい た。
学校により、彼女らを乗せると、スーパーに向かった。買い物は普段 は週1回、日曜日のみだったが、
今日は特別だ。
フィオリーナからもメールが入っていた。ホリデイ達は無事帰還した らしい。

 アルバート「ミケとフェリックスは無事帰還したそうだ。明 日には戻るよ。」
 サラ「よかった。ずっと心配してたの。」
 リンダ「よかった。」

スーパーでははしゃぎ過ぎてついつい買い込んでしまった。
家に帰ると子供達と一緒に早速料理を始めた。サラもリンダも、ミケ やフェリックスが残業のときは
夕御飯を作っているとあって、さすがに器用だ。

が、しかし、作り過ぎた。アルバートは苦笑いした。

 アルバート「ま、いいか。余ったら冷凍すれば。しばらくは 同じメニューが続きそうだな。」

夕食を作り終わる頃に、丁度フィオリーナが帰って来た。

 サラ、リンダ「お帰りなさい!!」
 フィオリーナ「ただいま。あら、おいしそうないいにおい。」

 サラ「あたし達3人でつくったのよ。」

自慢げにそう答えた。
久しぶりににぎやかな夕食だった。明日はまた2人かと思うとちょっ と寂しかったが、
明日からはできるだけ夕食は一緒に取ろうと密かに心に思うアルバー トとフィオリーナだった。

子供達が眠ると、久しぶりに2人でワイングラスを傾けた。

 フィオリーナ「しばらくは早く帰れそうなの。」
 アルバート「私もだ。食事にでも行く?」
 フィオリーナ「いいわね。でもせっかくだから家で2人で料理しな い?」
 アルバート「それはいい。そうしよう。ところで提案があるんだ が、エンターサプライズの件が片付いたら
  みんなを招いてうちでホームパーティーを...」

一方、ホリデイ達は支社に戻り、エンターサプライズからダウ ンロードしたデータの解析を急いでいた。

 ミケ「だめね。アクセスコードから犯人が割りだせると思っ たんだけど。」
 スポット「ワームを使ったんでしょう。アクセス記録とそれに関わ るデータだけきれいさっぱり消されています。」

ワームと言えば昨今のコンピュータネットワーク社会ではウイ ルスと同様、悪者扱いだが、もともとパソコンが
スタンドアロンだったころは、ウイルスもワームもプログラミングの 1手段として重宝したこともあったらしい。
映画「2010年」(「2001年宇宙の旅」の続編)では、異常を 起こしたコンピュータHAL9000の
1990年以降の記憶を消すのにテープワームを使う、というくだり がある。ワームで特定のデータのみ
消去したわけだ。
ウイルスとワームの違いは、常駐するウイルスに対して、ワームは能 動的にメモリ内やネットワークを
渡り歩く(実際には自分自身をコピーしているに過ぎない)ことであ る。
ちなみにmnakataはどちらも作ったことはありません。大まか な仕組みはわかるが、細かいことはようわからん。
ましてや必要もないし。

 ミケ「航行記録は残ってる。我々のメンテナンス員が退去し たあとすぐにシャトルで乗り付けて、
  プラズマの調整で艤装して、イオンエンジンで移動してる。待っ て。シャトルの記録のコピーがある。
  消し忘れたんだ。」
 フェリックス「わざと残したのかもな。」
 スポット「どういうことかね。」
 フェリックス「元乗員なら罪の意識から痕跡を残したんじゃないか と思ったんです。」
 スポット「なるほど。」

 ミケ「シャトルは地球から38万km先から来てるわね。」
 フェリックス「38万kmといえば...ミケ、この日の月の位置 は?」
 ミケ「一致した。彼等のシャトルは月の裏側から来てる。」
 フェリックス「なぜわが社の月面支社のレーダに引っ掛からないん だろう。」

 スポット「彼等の拠点事態が艤装してるんでしょう。」
 フェリックス「やっかいなことになりましたね。」
 ミケ「今度は月面まで行かなくちゃいけないのかなあ。」
 ホリデイ「いや、エンターサプライズの行方不明が盗難だとわかっ た以上、後は当局に任せよう。」
 ミケ「よかった。」

当局が航空宇宙局の協力で踏み込んだ時には、月面の彼等の拠 点はも抜けのからだった。

 FBI「これは、我々の手には追えんかも知れんな。」

フィオリーナの機転で、サプライズ社は艤装技術を手に入れ、 ちゃっかりと権利化していた。
発明元は不明だし、サプライズ社を摘発すれば犯人であることを証明 するようなものである。

エンターサプライズは、当局の調査を終えて、再び宇宙ステー ションとして再スタートした。

支社にて。
 ミケ「見つけた。」
 フェリックス「何だ。」
 ミケ「船よ。月の裏側上空にいる。スポットを協力して艤装を見破 る方法を開発したの。
  まだ精度が良くないから船の特定まではできないけど、船である ことは間違いないと思う。」

(第6話に続く...)



第6話 その1 これまでのあら すじ

1周お休みしたので、これまでのあらすじを紹介しておきま す。

 ”管理者”によって地球のあるα(アルファ)宇宙域からδ (デルタ)宇宙域まで飛ばされてしまった
連邦の宇宙艦U.S.S.ボイジャーは、故郷の地球を目指して艦長 のキャスリーン・ジェインウエイ率いる
クルー達と供に、果てしない旅を続けるのであった。
 というのがスタートレック・ボイジャーのあらすじです。

 じいさんは山へ枝葉かりに、ばあさんは川へ洗濯に行きまし た。そして川から流れて来た桃から生まれた
メノ太郎!! というのがメノ太郎侍のあらすじ。

 少女メイが森で出会ったモノノケは隣のドーモだった。 隣 のドーモのあらすじ。

 森に棲むメノノケ達に育てられた美しき少女メノノケ姫の愛 と冒険の物語(前作Space Holidayでは
メノノケ姫と隣のドーモがビデオ化されてることになっています)。  メノノケ姫のあらすじでした。

 えっ、Space Holiday2のあらすじですか? それは始めからもう1度 読んでみてね(^^;)
前作Space Holidayもよろしく。

その2 ボツ企画コーナー

 覆面座談会というのを企画したのですが、書いている途中で あまりにもくだらないのでボツにしました。
ちなみにこんな感じです。

 ホ○デイ「ソウデスネ、サクシャノmnakataトイウノ ハ、ホントウハトッテモスケベエデ...」
(本人のプライバシー保護のため、音声を変えてあります。)

(本編は第7話へと続く...たぶん)



第7話 ピアノ・コンサート
←パーティーの準備で緊張するウェイターの スペース・アシボ
 アルバート「いけない、忘れていた。」
 フィオリーナ「えっ?」
 アルバート「今日はあの子達のピアノの発表会だ!! 君も連れて 行くって約束したんだ。」
 フィオリーナ「まあ。そんな大事なこと忘れるなんて。」
 アルバート「作者が忘れてたらしい。エンターサプライズの方のス トーリーに気を取られてたんだそうだ。」
 フィオリーナ「あなたったら人のせいにして...」
 mnakata「本当だったりする...」

ピアノ発表会場は地元の公民館のホールだった。

 リンダ「もうすぐお姉ちゃんの出番なのに、アルバートおじ さん達遅いね。」
 サラ「きっと来てくれるわ。」

いよいよサラの出番だ。同い年の女の子との連弾である。曲は ボブ・スキャッグスの"We are all alone"である。
丁度今頃はアサヒの黒生のCMで流れている。
ピアノの椅子に腰掛けるサラともう1人。

 サラ「あ〜あ、結局来なかったんだ。」

と、その時、入り口のドアが開いた。

 アルバート「よかった。間に合った。」

後ろの方の席に着くアルバートとフィオリーナ。サラの顔が輝 く。

連弾の息もぴったり。見事な演奏に、会場は割れんばかりの拍 手に包まれた。
ちなみに、mnakataはカツァリスの「ショパンを弾く」の時間 帯のシリーズで、もう1つお気に入りの
番組があった。それは宮川泰と西村由紀江の「ポピュラーピアノを楽 しむ」である。
"We are all alone"はこの番組のプログラムの1曲として取り上げられている。

次はおちびちゃんの...

 リンダ「なんですって?」

これは失礼。お次ぎはリンダの演奏。曲は宮川泰の「君をのせ て」。当時は沢田研二の歌った曲である。
日本びいきだったリンダの父親マークがよくカラオケで歌っていた曲 でもある。
小さな手を器用に駆使して、無邪気に弾くリンダの姿とは対照的に、 どこかせつないその曲のメロディは、
聴衆の中でマークを良く知る者達の涙をさそった。

発表会が終わって。

 サラ「アルバートさん、フィオリーナさん、お世話になりま した。今日からまたミケの家に帰ります。」
 アルバート「短い間だったけど、本当に子供ができたみたいで楽し かったよ。これからは寂しくなるな。」
 リンダ「また遊びに行くよ。」
 フィオリーナ「いつでも来ていいわよ。」

サラとリンダはフェリックス、ミケとともに家路に着いた。な ごり惜しそうに見送るアルバートとフィオリーナ。

翌日、支社。

 ミケ「ついに網にかかった。シャトルよ。艤装周波数を変え てるようだからFBIはまだ気付いていない。」
 フェリックス「当局に知らせてたら間に合わない。我々で追跡しよ う。」
 フィオリーナ「許可するわ。当局にはあとで連絡する。」

シャトルは第5話の終わりで見つけた月の裏側の謎の宇宙船か ら発進したものだった。
大気圏に突入しようとしている。ミケ達は着陸地点の計算を行った。

 ミケ「これは! エクスプロ−ラ社の敷地内に着陸しようと してる。まさか...」

突然だが、ここでちょっと中断。今見ているTVになんとカー ク船長が。"なつかしのあの人は" みたいな番組で
カーク船長の声の出演の矢島正明が出ていた。鉄腕アトムのヒゲおや じの声や、クイズタイムショックの
出題の声もやっていたそうな。

フェリックスは月の裏側の宇宙船の特定を急いでいた。

 フェリックス「まさか、そんな。信じられない。」

ホリデイ、スポット、フィオリーナ、ミケ、フェリックスはワ ゴン車で着陸地点に急いだ。

 フィオリーナ「当局には知らせたけど、我々の方が早く着く わ。」

エクスプローラ社の広大な敷地のフェンスが見えてくる。はる か後方にはシャトルの姿もあった。

 ホリデイ「構わん。フェンスの入り口を突き破れ。」
 ミケ「わかったわ。みんなつかまっててね。」

アクセルを踏み込むミケ。
入り口の2人の見張りは向かってくるワゴン車に、慌てて両側によけ る。

車はフェンスを飛ばしてなおも失踪する。
滑走路が見えて来た。斜後ろにはシャトルも迫る。ワゴン車は土ぼこ りを上げながらさらに加速する。

前方からはシャトルを迎えに来たエクスプローラ社の車も迫 る。

シャトルが隣に並んだ。わずかにシャトルの方が速い。シャト ルはやがて着地すると減速して、
ワゴン車に追い付かれた。シャトルの扉が開くと、中からサングラス の3人の男達が降りて来た。

男達はホリデイ達に気付くと、エクスプローラ社の車の方に 走って逃げて行く。

 フェリックス「逃がすものか。」

その時ワゴン車の中に積んであった荷物にかけてあった布がは らりと落ちた。中にいたのは
1人の女性だった。ホリデイ達は目が点になった。

 ホリデイ「君は...!!」

彼女はワゴンを飛び出すと3人の男達の後を追った。あっとい う間に追い付いて、
目にも止まらぬ早業で1人ずつなぎ倒して、そのうち1人をねじ伏せ た。

 女「こんな日が来なければいいとずっと思ってた。でもあな たは私を裏切った。」

彼女はねじ伏せている男のサングラスを取った。彼女の顔をみ て、彼の顔はひきつった。

 男「レ、レイチェル!!」

男はマークだった。そして、女は、なんとサラとリンダの母、 レイチェルだった。
駆け寄るホリデイ達。彼等も2人をみて唖然としている。

エクスプローラ社の車は、後から追い付いた当局の車に行く手 を塞がれていた。

 ホリデイ「先ほどフェリックスが、月の裏側の宇宙船が実は 崩壊したはずのジュピターだといういことを
  突き止めた。艤装することによって崩壊したと見せ掛けていたん だな。だから、犯人はマークだと
  気付いたよ。でも、レイチェルが、なぜ?」
 レイチェル「私はCIAのエージェントなの。エクスプローラ社と 軍の癒着についてずっと調査していた。
  彼等はサプライズ社のエンジニアに目をつけていたの。それで私 はマークと巧妙に知り合って、
  結婚したの。サプライズ社からの情報をつかむためにね。でも、 まさかマーク本人がエクスプローラ社に
  引き抜かれるとは。そこの2人はマークの部下よ。いえ、マーク 引き抜きのためにエクスプローラ社から
  潜入していたの。」

自分でもややこしいので整理すると、サプライズ社でマークの 部下だった2人は、実は予めマークに目をつけて
いたエクスプローラ社が送り込んだ企業スパイだったのである。

 フィオリーナ「でも、あなたはサラとリンダまで生ん で...」
 レイチェル「そうよ! マークを愛していたわ。何も起きなければ そのままCIAを退職するはずだった。
  サラとリンダには申し訳ないとおもったけど、隠れてマークを追 い続けるしかなかった。」

沈黙する一同。うちひしがれるマーク。

 マーク「すまない。今さら何を言っても信じてくれんだろう が、最初は本気でパイロットになれると
  思って転職したんだ。途中からは脅迫されて。」
 ホリデイ「心配するな。証拠がある。」

ほくそ笑むホリデイ。

エクスプローラ社は一部の幹部と何人かの社員が逮捕され、裁 判が行われた。
マークの元部下2名は、エンターサプライズ内で不当に武器を使用し た罪で懲役、マークは執行猶予がついた。
そう、ロボット「スペース・アシボ」から送られて来た映像記録が証 拠となって、マークは部下の行動を
止めようとしたことがわかったのだ。

裁判所の中。

 フィオリーナ「マークには保護観察がつくのね。」
 ミケ「ええ、CIA特権で、私を保護観察官にしてもらったの。今 度は逃がさないわよ。」

はずかしそうにうつむくマーク。

裁判所の入り口。
裁判が一段落するまでサラとリンダは両親と会うのを禁じられてい た。今日ようやく裁判が終わった。
フェリックスとミケの車からサラとリンダが降りてくる。裁判所の外 の石段を駆けのぼる2人。

 サラ、リンダ「パパ、ママ〜!!!」

"!"3個は初登場である。

抱き合う4人。リンダを抱き上げるマーク。感動の再会であ る。

 マーク「2人とも大きくなって。」
 レイチェル「もうどこにも行かないわよ。」

フェリックスとミケも駆け寄る。

 レイチェル「フェリックス、ミケ、今日まで2人の面倒を見 てくれてありがとう。」

ミケは思わずもらい泣きしていた。

 ミケ「よかった。本当によかった。」

 mnakata「うるうる...」

作者も泣いている。

今日は約束のパーティー。場所はフィオリーナの家。 Space Holidayシリーズのキャラクター総登場である。
Dr.タマもいる。スペース・アシボもいる。なぜかアシボは酒を飲 んでいる(なぜなんだ?)。
台詞すらなかったラウンジバーのマスターもいる。いることさえ書か れてなかった本社の受付嬢や、
前作で岩に隠れていた火星人もいる(そんなやつはいないよ!)。

パーティーの前半はマンダム・ゲームだ。皆さんお忘れだろう が、マンダムとは前作で外壁の修理のために最初に登場した
遠隔操作のロボットである。
ゲームはUFOキャッチャーの要領で、エンターサプライズ上にある マンダムを操作するものだった。
優勝は意外にも手先の器用なホリデイだった。

 ホリデイ「賞品はゲーム機か。」

苦笑するホリデイ。

 キャスリーン「ジャン・リュック、子供達が喜ぶわ。きっ と。」
 ホリデイ「そうだな。」

気丈なフィオリーナをは対照的に温和なキャスリーンはホリデ イの妻。初登場である。ジャン・リュックとは
ホリデイことである。

しばし歓談の後、次ぎはミニ・ピアノ・コンサートだった。そ う、今回の第7話のタイトルはサラ達の発表会では
なくて、このパーティーのミニ・コンサートのことだったのである。

フィオリーナがさっと白い布カバーを取ると、2台のグランド ピアノが。ベーゼンドルファーとスタインウェイである。

 リンダ「1台はフェリックスのピアノだ。」

今日のためにベーゼンドルファーをわざわざ運び込んだのだ。

まずはアルバートとフィオリーナの連弾。曲はシューマンのピ アノ協奏曲の編曲でピアノアレンジ版である。

MIDIデータ(Arrenged by mnakata)

 サラ「すごい。」
 フェリックス「拍手の人数が多すぎないか?」
 ミケ「まあ、いいんじゃない...」

マークはリンダと一緒に「君をのせて」を連弾した。
ホリデイは自分でピアノを引きながらフランクシナトラのfly me to the Moonを熱唱して大ウケだった。
アシボは自動演奏でなんとチェロを弾き、ミケはフェリックスの伴奏 でフルートを披露した。
フェリックスはさらに、どこで借りて来たのか、和太鼓をたたいて喝 采を浴びた。

 サラ、リンダ「お疲れさま。」
 フェリックス「それにしてもサラとリンダがいなくなると寂しくな るなあ。」
 サラ「毎日学校の帰りに遊びにいくわ。」
 ミケ「是非来てね。」

 フェリックス「ミケ、顔色が良くないなあ。」
 ミケ「ちょっと気分が...うっ。」
 フェリックス「大丈夫か。」

 mnakata「こ こでミケの身に重大な出来事が!!」

TVの見過ぎだ。

フィオリーナに付き添われて洗面所に駆け込むミケ。おろおろ するフェリックス。
ミケが戻ってくる。にこにこしているフィオリーナ。わけがわからな くて混乱のフェリックス。

 フェリックス「ミ、ミケは大丈夫なんですか?」
 フィオリーナ「大丈夫よ、新米パパさん!」
 フェリックス「そ、それって。」
 ミケ「あたし達にも新しい家族ができたのよ。」

 フィオリーナ「早く結婚式を挙げないと。」
 ホリデイ「仲人は私達だ。」
 アルバート「いや、僕達夫妻が。」
 マーク「仲人の習慣って日本以外にもあったんだっけ?」
 mnakata「さあ、どうだか。」

式は街の教会で行われた。もちろんみんな出席した。

月日が流れてミケは女の子を出産した。フェリックスの希望で 月の女神にちなんでダイアナと名付けられた。

そしてSpace Holiday 2もめでたくおしまいである。



第8話 Love Story?
お気付きのように、前作Space Holidayがほぼ1話完結でいろいろなエピソードがあったのに対して、
Spqce Holiday 2では長い1つのストーリーで構成しています。
続きは、Space Holiday 2のまま、第2部としてスタートするかも知れませんし、
Space Holiday "The Next Generations" なんてことになるかも知れません。
はたまた超短編集でSpace Holiday Liteとか。

あるいはSFではなくて恋愛小説に転向するとか。

 mnakata「それはないと思う...」

ではまたね。



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