日本のメーカーで製造していた冷陰極表示放電管(以下ニキシ管と呼ぶ)の規格を掲載しています。
海外のデータはリンク(そのうち作ります…多分)を参考にしてください。
ニキシ管の型名はJIS C7017(表示管の形名)により以下のように規定されていました。
1項 | 2項 | 3項 | 4項 | 5項 |
(文字) | (数字) | (数字) | (文字) | (文字) |
1項の文字 | 種別 |
---|---|
CD | 冷陰極表示放電管 |
FD | フィラメント表示管 |
FR | 蛍光表示管 |
また、メーカー独自の型名が付されている場合もあります。(岡谷のGR-、日本電気のLDなど)
ニキシ管を製造または販売していた会社名です。スペースの都合上略称を用いています。以下に正式名との対応を示します。
略称 | 正式名 | ブランド |
---|---|---|
岡谷 | 岡谷電機産業株式会社(旧岡谷無線株式会社) | RODAN(旧RODIN) |
日電 | 日本電気株式会社 | NEC |
松下 | 松下電子工業株式会社 | ナショナル |
日立 | 株式会社日立製作所 | HITACHI |
日無 | 日本無線株式会社 | JRC |
底面から見た接続図です。
A: アノード
K: カソード ()内は表示内容を示します
IC: 内部接続(使用しないこと)
NP: ピンなし
NC: 接続なし
矢印は、頭部表示管の場合は文字の下側方向(※CD55のみ文字の上の方向)、側部表示管の場合は文字の正面方向を示します。
外形図: 大まかな外形をページ上部に示します。
A: バルブ直径(最大値)
B: 据付高さ(標準値)(側部表示管の場合は突起部を含まない寸法(標準値))
C: 最大部直径(最大値)(CD28のみ管上部より突起部までの寸法(標準値))
D: 文字高(標準値)
H: 全長(最大値)
H2: リード線を含めた全長(最大値)
L: リード線長さ(最小値)
JIS C7005,JIS C7009に規定されていたものはその形名を示しました。元の規格表にJISの形名が示されているものはそのままで、示されていなくてもJISに準拠していると思われる場合は、()つきで示しました。それ以外は特殊○ピン、特殊○リード(○内はピン、リードの本数)としました。
ベース-ソケット対応表(作成中)
最小値が規定されています。実際はかなり低い電圧から放電を始めますが、管のばらつき、長期間放置、使用中の劣化などを考慮し、規定されている電圧以上で使用するようにしてください。 放電特性のばらつきを考慮するとなるべく高い電圧で使用するのが望ましいですが、300V以上を印加すると異状放電を誘発する恐れがありますので通常は最小陽極供給電圧〜300Vの間で使用するのが最適です。[]内の値はパルス動作時の尖頭陽極供給電圧(ebb)です。
最大値が規定されています。温度や特に周囲の明るさによって放電を開始する電圧が変動します。暗黒中では放電に必要な初期電子が不足し、放電開始電圧が上昇する傾向があります。
陰極電流はこの範囲内に収めなければなりません。電流が少ないと文字欠けや不鮮明な表示になり、電流が多いと輝度は増しますが、異状放電などを起こしやすくなり、また寿命も短縮します。[]内の値は尖頭値です。
データ集のほうには掲載しませんでしたが、絶対定格として周囲温度範囲が規定されています。
岡谷 −65〜70℃(保存時)、−10〜55℃(動作時)、−10〜60℃(MG-17G,MG-137,動作時)
日本電気 −65〜70℃(絶対定格)、−10〜70℃(推奨値)
日本無線 −65〜70℃(絶対定格)、−20℃以上での使用を推奨
特に低温では長寿命化の効果がなくなり寿命が短くなりますので、推奨値の範囲内で使用してください。
個々の管の特性のばらつきなどを考慮して、陽極供給電圧に対する陽極直列抵抗、陰極直列抵抗の値を示します。これ以外の電圧で使う場合は比例計算で抵抗値を求めてください。
特に規定されていない場合は直流動作です。
Du,Duty: デューティー比
fp: パルス繰り返し周波数
tp: オン時間
このデータ集作成に当たり以下の資料を参考にしました。(※は図書館などで閲覧が可能です。)
(1) 『INDICATOR TUBE 表示管』、D4806-AB-2、岡谷電機カタログ
(2) 『ELECTRONIC COMPONENTS 電子機器用部品』、岡谷電機カタログ
(3) 『1980 ELECTRONIC COMPONENTS 電子機器用部品 総合版』、F5409-5、岡谷電機カタログ
(4) 『電子管規格一覧表 1971年版』、400-J、日本電気カタログ
(5) 『表示放電管・けい光表示管』、451-J、日本電気カタログ
(6) ※日本電子機械工業会電子管史研究会編、『電子管の歴史 資料編』日本電子機械工業会電子管史研究会、1988
(7) ※松下電器産業株式会社編、『ナショナル真空管 トランジスタ・ハンドブック 1964』、誠文堂新光社、1964
(8) ※松下電子工業株式会社ナショナル真空管ブラウン管ハンドブック編集委員会編、『ナショナル真空管ブラウン管ハンドブック 1966』、誠文堂新光社、1966
(9) ※日本電気株式会社編『NEC・エレクトロニックス・データブックス 1964,65年版』、誠文堂新光社、1964
(10) ※「ナショナル カラー・ブレテン 56」、『電波科学』、1959年6月号
(11) ※「ナショナル カラー・ブレテン 164」、『電波科学』、1968年6月号
(12) ※「ナショナル カラー・ブレテン 178」、『電波科学』、1969年8月号
(13) ※「ナショナル カラー・ブレテン 188」、『電波科学』、1970年6月号
(14) ※「ナショナル カラー・ブレテン 197」、『電波科学』、1971年3月号
(15) ※「ナショナル カラー・ブレテン 199」、『電波科学』、1971年5月号
(16) ※『表示管の形名』、JIS C 7017-1975、日本規格協会
(17) ※『受信用真空管のベース,キャップ及びゲージの種類と寸法』、JIS C 7005-1977、日本規格協会
(18) ※『送信管のベース及びキャップの種類と寸法』、JIS C 7009-1975、日本規格協会
(19) ※日本電子機械工業会電子管史研究会編、『電子管の歴史 ―エレクトロニクスの生い立ち―』オーム社、1987
(20) ※小林春洋著、『最近の放電管とその応用』(日刊工業技術選書)、日刊工業新聞社、1962
(21) ※福本恒雄、久保田公孝、「表示器のドライブ技術 ニキシー管のドライブ」、『トランジスタ技術』、CQ出版社、1976年6月号