長い時が流れた。 もともと永遠を約束されている神にとって、その時間は、一瞬の星の瞬きにも及ばないものなのかもしれないが、人間でありながら永遠を与えられてしまったシュンには、それは気が遠くなるように長い、永遠以上の時間だった。 シュンは17歳の姿のままで、父が死に、兄たちが歳老いて死んでいくのを見た。 その子供たちが成長し、恋をし、子を生み育て、また歳老いて死んでいくのを見た。 シュンが守っていた果樹園の木が朽ち果て、エウクセイノス海の浜にあった巨岩が波に削られ、丸い石になり、小さな砂粒になるのを見た。 自然ですら変わるのに、シュンだけが変わらない。 そして、シュンが不思議に思うほど、ヘリオスのシュンヘの思いも変わることがなかった。 シュンは、そして、徐々に慣れていったのである。 “永遠”と、変わらぬヘリオスの愛に。 ヘリオスは自分のために太陽神としての力と栄光を捨てさえした。 ヘリオスほど自分を愛してくれる者は、この世に存在しないだろう。 そう信じることに、シュンは慣れていったのである。 心に小さな傷は残ったが、シュン自身にも、自分がヘリオス以上に他の誰かを愛するなどということは思いもよらないことだった。 ヘリオス以上に大切な人はいない。 かつてはいたかもしれなかったが、それらの人々は時間の流れに押し流され、影も残さず消えてしまった。 だから――瞬は慣れるしかなかったのである。 自分に与えられてしまった永遠というものに。 |