瞬は仲間たちを見た。

氷の棺から仲間を救い出すために、持てる力のすべてを振り絞る仲間たち。
この姿こそが、真の愛情の発現である。
瞬は、そう思った。


この仲間たちの許にいた方が、氷河はどれほど強くなれるものか。
瞬は、この仲間たちを諦めて、己れに屈した、己れの師に屈した氷河に、哀れみよりも怒りを感じた。


だから、決意したのである。


そうすることで、氷河に憎まれることになっても、
そうすることで、氷河に恨まれることになっても、
この暖かい氷の棺から氷河を引きずり出し、彼を再び辛い闘いの場に立たせることを。


氷河の真の幸福は、こんな甘く暖かい棺の中には無い。
無いのだと信じて――。





【next】