「おっきい瞬ちゃん、地球の氷河さん、メイドロボさんたち……」
「短い間でしたけど、お世話になりました」
「おいしいプリンやパンケーキやふかふかのベッドのことは一生忘れません」
「皆さん、いつまでもお元気で」

既に合体を果たしているというのに、合体瞬のセリフはまだ小人さんモード。
名残りを惜しむ言葉を幾つかに分けて告げる氷の国星の合体瞬の瞳には、うっすらと涙がにじんでいました。

「氷の国星の小人さんたちも──合体瞬ちゃんも元気でね……。氷の国星の氷河さんによろしくね。たまには手紙書いてね」
もちろん、地球の瞬の瞳にも涙が浮かんでいます。


誰ですか?
こんな感動的なシーンで、『地球では、氷の国星語は読めないはずでは?』なんて、無粋な突っ込みを入れる人は。
そんなことはしてはいけませんよ。
涙の――お別れシーンなのですから。

「うん。おうちに帰ったら、きっと手紙出すよ」
氷の国星の合体瞬は、地球の瞬にこっくり頷きました。

「氷の国星の合体瞬さん、お気をつけて」× 15
「メイドロボさんたちとも、もっとたくさんお話したかったな……。いつかきっとお手伝いの極意とか聞かせてね」
「はい。いつか必ず」

泣き虫のメイドロボたちの瞳は、その瞳に映っている氷の国星の合体瞬が溺れてしまいそうなほど涙でいっぱいでした。
氷の国星の合体瞬は、メイドロボたちみんなの頭を、人差し指の先っちょで撫で撫でしました。


「おい、あいつが待ちくたびれるぞ。痺れを切らして、また暴れられたらかなわん」
「はい。じゃあ、もう行きます。さよなら、皆さん」

氷河が、氷の国星の氷河の気持ちを慮って、氷の国星の合体瞬に帰還を促します。
目は──開けていました。


氷河の言葉に頷いて、氷の国星の合体瞬が、光の階段の中に歩み入ります。
すると、白く輝く光が氷の国星の合体瞬を抱きしめるように包み込み、それは、少しずつ少しずつ上昇を始めました。


「さようならー! 気をつけてねー!」
「さようならー! さようならー!」× 15


「…………」
この光の一大ページェントには、地球の氷河も、さすがに感無量です。
たった半日だけしか一緒にいなかったというのに、氷の国星の小人たちは、消し去り難い印象を氷河の胸にも残していたのでした。







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