そういうわけで、泣く小人たちとそれ以外の全てに勝てない氷の国の氷河は、あったかいところに旅行に行くことになりました。 「また、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんと一緒に眠れるね〜」 「わーい、たれたれ瞬ちゃんのおやつだー!」 と浮かれる小人たちに、顔で笑って、心で泣きながら。 たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんは、もちろんとても喜んで、氷の国ご一行様をお家に迎えてくれたのです。 さて、ところで。 いくら氷の国の氷河が“哀しい男”だからと言って、人は毎日毎日四六時中落ち込みまくって悲しんでばかりはいられません。 実を言うと、それはとっても難しいことなのです。 どんなに辛く悲しいことがあっても、人はご飯を食べ、お風呂に入り、トイレに行くのです。そして、トイレでの作業をシリアスに遂行していたら、それはギャグ以外の何ものでもありません。 生きるということは、えてしてそういうものなのです。 トイレに行くのも面倒になってきたら、確かに精神的仮死状態かもしれませんけれどね。 (もちろん、瞬ちゃんは除きます。瞬ちゃんは、上司氷河にセクハラを受けて、個室で閉所えっちをするためでもない限り、トイレには行きません) なので、人は、まあ、たまにはずどーん★ と地の底まで落ち込んでみるのもいい経験になりますが、トイレに呼ばれたなら、立ち上がって歩き出さなければなりません。 それもまた、生きるということなのです。 氷の国の氷河は生きていました。 いつも必死に生きていました。 そして、実は、彼は、いつまでも“哀しい男”でいるつもりもありませんでした。 氷の国の氷河は、存外に前向きな男だったのです。 小人たちがたれたれさん宅の二人と楽しい時を過ごし、そして帰国するだけでは、わざわざあったかいところまでやってきた意味がありません。 小人たちは、氷の国に帰ったらまた、たれたれ瞬ちゃんに会いたいと泣き暮らすことになるでしょう。 それではいけないのです。 せっかく遠出をしてきたというのに、何が解決するわけでもないのでは。 そこで、氷の国の氷河は一念発起。 小人たちがたれたれ瞬ちゃんを恋しがって泣かないようにするためにはどうすればよいかを、氷の国の氷河は一生懸命考えてみたのです。 そして、氷の国の氷河が得た結論は。 「俺が、小人たちにとって、たれたれ瞬ちゃんやたれたれ瞬ちゃんのおやつよりも魅力的な存在になればいいんだ!」 ――でした。 では、小人たちにとってそういう存在なるためには、どうしたらいいのか。 考えに考えた末、氷の国の氷河は、たれたれ氷河さんをお手本にすることを思いついたのです。 |