できるわけがありません。 そもそも、氷の国の氷河にそんなことができるのなら、彼は最初から“哀しい男”になんかなっていなかったでしょう。 小人たちの期待と信頼を裏切るなんて、氷の国の氷河にできることできありませんでした。 購入してきたシロップやクリームの当初の使用目的を諦め、シロップのフタを開けた氷の国の氷河。 その時。 無念のあまり、ぶるぶると手が震えてしまった氷の国の氷河は、ちょっとドジって、指にとろ〜りとメープルシロップを零してしまったのです。 いまかいまかとビンの開封を待っていた小人たちは、もう冷静ではいられませんでした。 小人たちは、シロップのかかった氷の国の氷河の人差し指と中指に、突進突撃大ジャーンプ! 「ぺろぺろぺろぺろ」 「あぁん、2号ったら、ずるいー! 僕にも舐めさせてー」 「やだ、これは僕だけのものだもん」 2号は、氷の国の氷河の人差し指に馬乗りになって、ぺろぺろぺろ。 「だめだよ、みんな仲良くして。順番に、順番にね。一度に群がったら、氷河が疲れちゃうでしょ」 「ぺろぺろぺろ。ぺちゃぺちゃぺちゃ」 7号は、氷の国の氷河の指と指の股に顔を突っ込んで、その間のシロップを舐めとっています。 「わあ、7号ったら、そんなとこまで! 7号の舌使いは最高だね!」 「まかして! どんなところだって、僕の舌にかかったら、イチコロさぁ」 「…………」 氷の国の氷河は、小人たちの妖しいセリフの羅列に、目がテンになっていました。 「うふふ。僕のテクニックもなかなかだよ〜」 10号なんか、氷の国の氷河の指の上で宙返りをして、着地と共に、ぺろりんv 「おおおおおっ」× 14 仲間たちの賞賛の声と拍手を受けて、10号は得意満面です。 「僕、そんなに上手くできない〜」 「僕も、できない〜。だって、氷河の指とシロップ、滑りが良すぎるんだもん〜」 「ほんと滑りがいいよね。でも、気持ちいいから許しちゃうv」 「滑りがいいのは、気持ちいい証拠だよ」 「…………」 氷の国の氷河の心臓は、小人たちのきわどいセリフに、どきどき破裂しそうになっていました。 「僕、もう、氷河の指から離れられない……!」 14号が、愛しそうに頬擦りしながら、氷の国の氷河の中指に抱きつくと、 「僕ももう、氷河の指の虜だよぉ」 「また、そんなこと言って、独り占めしようとするんだから〜。僕にももっと舐めさせてよぉ〜」 てな調子で、小人たちの発言はますます過激になっていきます。 「〜〜〜〜っっっっ !!!!! 」 氷の国の氷河のテン目は、今は、白目になっていました。 |