哀れな氷の国の氷河の、おのろけ大ピンチ報告を受けたたれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんは、風前の灯の氷の国の氷河の命を救うべく、すぐさま氷の国に駆けつけてくれました。 氷の国の氷瞬城に到着した二人は、どういうわけか、大変な大荷物。 では、その荷物の中を覗いてみましょう。 たれたれ氷河さんの荷物の中身は、自作ターゲットスコープ(照準に寸分の狂いなし)とダンボの耳栓。 たれたれ瞬ちゃんの荷物の中身は、手作りおやつ各種──ガトーショコラとストロベリータルトとバナナとりんごのマフィン他──を16人分でした。 もちろん、持っているのは、たれたれ氷河さんですけどね。 たれたれ氷河さんは、その大荷物を氷の国の氷河に手渡すと、挨拶もなく用件に入りました。 「主導権の正しい握り方を教えてやる。よく見ておけ。──瞬」 さりげなくたれたれ氷河さんが送った視線での合図を受けると、たれたれ瞬ちゃんはこっくり頷いて、小人たちを呼んだのです。 「小人さんたち、おいで〜。たっくさんお菓子持って来たよ〜♪」 「わ〜いv」× 15 「すごくいいことがあるから、合体してから食べてね」 「は〜い」× 15 → 1 (は?) 小人たちの過激発言に死にかけていた氷の国の氷河は、瞬時に生き返り、そして、驚愕のあまり、再び死にそうになりました。 何ということでしょう! これまで氷の国の氷河が小人たちを合体させるために、粉骨砕身&四苦八苦してきたのは、いったい何だったのでしょう! たれたれ瞬ちゃんがその一言を言い終える前に、小人たちはあっさり合体を済ませてしまっていたのです。 (ななななななななななんで…… !? ) 言葉も出ないほど驚いている氷の国の氷河に(文字サイズで彼の驚愕の大きさを察してあげてくださいね)、たれたれ氷河さんはクール&セクシーに言ったのです。 「理屈じゃないんだ。おまえは考えすぎない方がいい」 『どうせ、馬鹿なことしか思いつかないんだから』という言葉を、たれたれ氷河さんは喉の奥に押しやりました。 さすがは大人です。 「くれぐれも言っておくが、小人たちにどんないいことがあるのかとか、深く考えるなよ。つまりは……本能の問題だ」 たれたれ瞬ちゃんに、鮮やかに小人たちを合体させてみせたたれたれ氷河さんは、謎めいたセリフを残して、あっけにとられている氷の国の氷河にそれ以上の説明もなく、疾風のようにあったかい国に帰っていきました。 たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんは、ただこれだけのために、わざわざ氷の国まで出向いてきてくれたのです。 交通費だって結構かかるというのに! 何という、熱くて厚い友情でしょう! そんなふたりの友情に応えられなかったら、氷の国の氷河は、本当にただのスーパー・スペシャル・デラックス大馬鹿者です。 たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんの優しさと思い遣りに応えるためにも、ここは一念発起して、必ずや合体瞬との愛を結実させてみせよう! と考えるのが真の漢(と書いて『おとこ』と読みます)というものです。 はたして氷の国の氷河は、たれたれさん宅のお二人の期待通り、立派に男を立てることができるのでしょうか? |