たれたれ瞬ちゃんを追いかけてきたたれたれ氷河さんを見て、たれたれ瞬ちゃんはびっくりしました。 「氷河、どーしてここに? 炊飯器のスイッチは入れてきたの?」 「……忘れた」 「もう、せっかく手紙を置いてきたのに……」 「すまん」 ──と、たれたれ氷河さんが謝ったところに、小人たちの低い笑い声が響きました。 「ふっふっふっふ……」× 15 「さて、これで全員がそろったね」 「犯人は必ず殺人現場に戻ると言うからね」 名探偵である小人たちは、ミステリーの常道というものを心得ていました。 そして、『たれたれ瞬ちゃん偽ケーキ・氷河騙されちゃった事件』は、いつのまにか、『たれたれ瞬ちゃん偽ケーキ・氷河騙されちゃった殺人事件』になっていました。 ま、細かいことは気にしないでください。 「僕たちにはもう、この『たれたれ瞬ちゃん偽ケーキ・氷河騙されちゃった殺人事件』の犯人はわかっている」 さすがは名探偵です。 小人たちの脳裏には、既に犯人の姿がくっきりと浮かびあがっているようでした。 自信満々の小人たち。 氷の国の氷河のノミの心臓が、ばくばくばくばく状態になっていたのは、言うまでもありません。 「犯人は……」 テーブルの上に居並んだ小人たちは、ちょっと勿体ぶってから、声と15本の人差し指を揃えて、全く同じタイミングで、 「おまえだーっっ !! 」× 15 と叫び、なんと、たれたれ氷河さんを指差しました。 「な……なに?」 日頃、無口&クール&セクシーなたれたれ氷河さんも、この突然のご指名にはちょっとびっくりです。 「ちょ……ちょっと待って、小人さんたち。どーして、僕の氷河が犯人なの?」 たれたれ瞬ちゃんが驚いて小人たちに尋ねると、それまで自信満々でいた小人たちは、ふっと悲しそうな顔になりました。 「たれたれ瞬ちゃん……。たれたれ瞬ちゃんは騙されてるんだよ」 「たれたれ氷河さんは、めちゃくちゃカッコいいけど、本当は悪者なんだ」 「だ……だから、どーして?」 名探偵小人たちが、どうしてそういう結論に至ったのか、賢い読者諸嬢には既におわかりのことと思います(注:わからなくても気にしないでください)。 |