けれど、小人たちは、なにしろ生きています。
そして、みんながみんな元気な上に、みんながみんなわんぱく盛り。
四六時中氷の国の氷河のぽっけに隠れてばかりもいられないのです。



さて、氷の国の氷河と小人たちが泊まったホテルの朝食は、バイキング形式を採っていました。

さすがにこの時ばかりは小人たちも大人しくしていられずに、テーブルの上に全員揃って、
「いただきまーす !! 」
と元気なご挨拶。

それを聞きつけたウエイターさんが、慌てて小人たちのテーブルに飛んできました。
「お……お客様、これは困ります! 私どもは、こちらの小人様方の料金をいただいておりません!」

節約のため(ほんとは小人たちの無邪気な拒否のため)とは言え、ホテルのおとなな使い方を断念せざるを得なかった氷の国の氷河は、その日は朝から不機嫌の極致。

「貴様、俺に、大人15人分の料金を支払えとでも言うつもりかっ !? 」
と、いつになく大迫力で氷の国の氷河がスゴんでみせると、ウエイターさんは、
「お代は、こけけけけけ結構でございます〜 !! 」
と、ニワトリのような悲鳴をあげて逃げていってしまいました。


けれど、仮にもプロなら、ウエイターさんはそこで逃げてしまうべきではなかったのです。

バイキングのメニューの中に、フルーツポンチやストロベリークリームサンド、甘ぁいジャムにヨーグルト、ぷるぷるプリンや綺麗なゼリーがあったものですから、さあ大変。

小人たちは、例によって例のごとく、
「はむはむはむはむ」
「ぱくぱくぱくぱく」
「もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ」
「むしゃむしゃむしゃむしゃ」
と、大人顔負けの量を平らげてしまったのです。


ウエイターさん、呆然。
ホテル、大損。
小人たちは大満足。
そして、小心者の氷の国の氷河の頬は、血の気が引いて真っ青でした。