たれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんが氷の国を訪れた最初の日。

夜も更けた氷の国の氷瞬城の某客室ベッドルームで、15人の小人たちを間にはさみ、17本川の字になったたれたれ氷河さんととたれたれ瞬ちゃんの会話から、『氷の国の氷河・父親化防止計画』は始まります。



「ここのお風呂すごいんだよ! 広くて、いろんな遊び道具があるんだ〜♪」
「よかったな」
「小人さんたちのお風呂もすっごく可愛いの。それでね、みんなで輪になって、背中の洗いっことかするんだよ♪」

「それは楽しそうだ。明日は俺も一緒に入ろうか」
たれたれ氷河さんはジョークを言う時も、あまり表情を変えません。
ちなみに、そのジョークは、小人たちの様子を気にして廊下で頑張っている氷の国の氷河に聞かせるためのものでした。

「というのは冗談だから安心しろ」
廊下に陣取っている氷の国の氷河のために、たれたれ氷河さんは、声のボリュームを少し上げて言いました。



「氷の国の氷河さん、廊下でびっくりしてたと思うよ」
たれたれ瞬ちゃんが、たれたれ氷河さんをたしなめるように言うと、たれたれ氷河さんは、ほんの少し顔を歪めて、部屋のドアに視線を移しました。
そのドアの向こうに、氷の国の氷河がいるはずです。

「驚かすために言ったんだ。一度思いが叶って安心してしまったせいで、氷の国の氷河は油断しているようだ。どうも刺激が足りなくて、氷の国の氷河と小人たちはすっかり親子関係になってしまっているようだからな。少し刺激を与えてやろうと思ったんだが……」
「それは僕も感じてたけど……。氷の国の氷河さん、すっかり小人さんたちのお父さんみたいになってたよね……」


たれたれ瞬ちゃんは、けれど、氷の国の氷河の気持ちがわからないでもなかったのです。

たれたれ瞬ちゃんとたれたれ瞬ちゃんのケーキに再会できて浮かれまくり、お風呂で遊びすぎた小人たちは、たれたれ氷河さんの横でぐっすり眠っています。

ちょっと寝相の悪い小人もいたりして、たれたれ瞬ちゃんは、小人たち専用毛布をかけ直してあげました。
こんな小人たちを毎日見ていたら、氷の国の氷河が父性愛全開になってしまっても不思議ではありません。


けれど、氷瞬界の氷河がそんなことではいけませんよね。
それでは、氷河失格です。


たれたれ氷河さんの刺激は、少しは効果があったようでした。
客用ベッドルームのドアの向こうでは、これまでの自分の父性愛行為を反省したらしい氷の国の氷河が、なにやら低い唸り声をあげています。


さあ、刺激を与えられた氷の国の氷河は、この後、どういう行動に出るのでしょうか?