小人たちがピアニストとしてデビューすることになった、そもそもの発端は、『小人たちの365日のぱんつチョコ』を売り出しているめーじゃ製菓のおじさんたちからの“おいしい話”でした。 小人たちの大ファンでもあるおじさんたちは、めーじゃ製菓の今度の新製品のCMにぜひとも小人たちに出演してほしいと言ってきたのです。 おじさんたちは、もちろん、9号が満足するくらいの契約金と、小人たち全員が思わずダンスしたくなるくらいのおやつを抱えて、その話を持ってきました。 「今度、我が社で出す新製品は、“チョコろん”という名前の、中にチョコレートが入った小さなシュークリームみたいなものなんです。広告代理店のCF起案者のイメージはですね――」 それは、ピアノの鍵盤の上にぽんぽん降ってきたチョコろんが、鍵盤に当たって弾んだ途端に小人たちの姿に変わり、今度は小人たちが『チョコろんろん チョコろんろん めーじゃ チョコろん♪』の曲に合わせて、鍵盤の上を跳ねてみせる――というものでした。 おじさんが9号に良い返事をもらおうと必死の説明をしている横で、小人たちは、自分たちの顔と同じくらいの大きさのチョコろんにパクつきながら、既に夢見心地。 「チョコろん、おいしーい♪」 「チョコクリーム、あまーい♪」 「シュークリームより、さくさく〜v」 「はむはむはむはむ」 「ぱくぱくぱくぱく」 「あむあむあむあむ」 「もしゃもしゃもしゃもしゃ」 仲間たちがチョコろんに群がっているのを見たら、9号だって我慢していられません。 「わーん、僕も食べる〜 !! 」 日頃冷静な9号も、おじさんの難しい話なんか放っぽって、噂の新製品チョコろんに向かってまっしぐら。 そして、そのお味は、9号とその仲間たちを満足させるものでした。 そういう訳で、小人たちの“めーじゃ チョコろん”CM出演が実現されることになったのです。 小人たちは、いつだって、おいしいおやつの味方ですからね。 そのCF録りのスタジオで、小人たちの新たな才能が発見されることになったのでした。 |